欧州

2024.04.29 11:00

「人殺し政権」がロシアを支配と批判の政治犯、懲役25年で獄中死の恐れも

ロシアの野党指導者ボリス・ネムツォフが殺害されてから6年目の追悼式で献花する元側近のウラジーミル・カラムルザ(中央)。2021年2月27日撮影(Mihail Siergiejevicz/SOPA Images/LightRocket via Getty Images)

ロシアの政治犯ウラジーミル・カラムルザが拘束されてから今月で2年、懲役25年の実刑判決が下されてから1年が経過した。カラムルザは英国籍を持つロシアの野党政治家で、ジャーナリストや作家、映画監督としても活躍し、ロシア反戦委員会の共同設立者でもある。昨年4月17日、自国政府とウクライナ侵攻を批判したとして、懲役25年の判決を受けた。ロシア大統領府(クレムリン)が反体制派に対する容赦ない弾圧を強化する中、カラムルザに下された刑は、ウラジーミル・プーチン大統領の政敵に下された刑としては過去最長となる。

プーチン政権は、国民や政敵への弾圧を徐々に強めている。ロシアがウクライナへの侵攻を開始して以降、こうした政治弾圧は一層強まっている。侵攻に関するあらゆる情報を封じ込め、ロシア政府が「特別軍事作戦」と呼ぶ偽情報の泡の中に自国民を閉じ込めておくためだ。ロシアの人権団体メモリアルによると、現在ロシアには600人以上の政治犯がいるという。実際の数はそれより多く、1000人を超えるのではないかと指摘する団体もある。

ロシア政府は長年、カラムルザを脅威と見なしてきた。カラムルザは野党指導者の故ボリス・ネムツォフ元第一副首相の側近で、人民自由党の副党首として議会選挙にも立候補していた。2015年にネムツォフが暗殺されると、カラムルザは米首都ワシントンとリトアニア首都ビリニュスの街路をネムツォフに関連する名前に改称するよう働き掛け、成功した。

こうした活動を理由に、カラムルザは2015年と17年の2度にわたり、ロシアの工作員による毒殺未遂事件の被害者となった。それにより、末梢神経に支障をきたし、動いたり感じたりする能力の低下を引き起こす多発性神経炎を発症した。
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翻訳・編集=安藤清香

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