しかし、亀戦車は装備がより整ったロシア軍部隊の作業場でも目撃されるようになっている。それには第90親衛戦車師団も含まれる。ロシア軍が2月中旬に占領した東部の都市アウジーウカの廃墟周辺に隠れている第90師団は、その北西のオチェレティネ村周辺でロシア軍が最近切り開いた突破口を活用すべく、待機している可能性がある。
T-72B3 Obr. 2022 with improvised "turtle" armour marked as belonging to Russia's 80th Tank Regiment, 90th Guards Tank Division, Central Military District. https://t.co/0fUXmDiKP1 pic.twitter.com/l008TKjefh
— Naalsio (@naalsio26) April 25, 2024
米フィラデルフィアにあるシンクタンク、外交政策研究所のアナリストであるロブ・リーは、亀戦車について「人々に嘲笑されているのは承知しているが、おかしな適応だとは思わない。ロシアは戦場の特定の状況に適応している」と述べている。
「状況」というのは、過去半年にわたってウクライナ軍の弾薬が不足していたことだ。弾薬が不足したのは、米下院のロシアに融和的な共和党議員たちが昨年10月から、ウクライナへの追加支援を妨害する遅延キャンペーンを続けたことが主な原因である。
このキャンペーンは今月、大きな圧力にさらされるなかでついに潰えた。そして、年末にかけて610億ドル(約9兆6000億円)近くの新たな援助が米国からウクライナに届くことになった。10億ドル(約1570億円)相当の武器・弾薬を含む最初分は、ウクライナへすでに発送されている。
弾薬、とりわけ米国製の砲弾やジャベリン対戦車ミサイルが不足する間、ウクライナはFPVドローンの増産で対応し、国内の小規模な工房のネットワークによる生産数を月に10万機まで増やした。無線で操縦するこれらのドローンは、500g程度の爆弾を抱えて数kmの範囲を飛ぶことができる。
とはいえ、FPVドローンが1機の1回の攻撃で、数百mmの複合装甲で守られた51tの戦車を破壊するのは不可能に近い。繰り返し攻撃すれば可能かもしれないが、基本的には地雷やミサイル、砲弾で動けなくなった戦車にとどめを刺すのがFPVドローンの役目だ。ウクライナ軍のドローン操縦士、コールサイン「Kriegsforscher(クリークスフォルシャー)」は「鍵を握るのはドローンではない」と注意を促している。