小惑星帯は低質量
論文によると、小惑星帯を構成する天体は主に2種類に分類される。S型小惑星とC型小惑星だ。デイエノによると、S型小惑星は基本的に、大部分が乾燥しており、水や有機化合物をほとんど、あるいはまったく含まない小惑星のことだ。それに対しC型小惑星は、より多くの水を含んでいるという。
直径約300km以上の(小惑星ベスタに似た)S型小惑星は、地球型惑星(岩石と金属でできた惑星)の原材料で、外部から小惑星帯の中に進入した可能性が高いことを、今回の研究結果は示している。小惑星帯で3番目に大きいベスタも、恐らくこのタイプの小惑星の1つで、木星より内側の、小惑星帯の外で形成されたと現在では考えられている。
ベスタは、木星軌道より内側の、太陽系の形成過程にある地球型惑星に由来する可能性が高いと、デイエノは説明している。
小惑星帯の初期の内外境界に関してはどうだろうか。
デイエノによると、初期の小惑星帯は天文単位AU(太陽地球間の距離)で1.6~4AUの間に位置していた可能性がある。現在は、定義の仕方によって異なるが、約1.8~3.6AUの間にあるという。
小惑星帯の原初の質量に関する最新の推定値が今回得られたことにより、太陽系の初期の構造と動力学について何がわかるだろうか。
デイエノによると、太陽系の初期の動径質量分布(太陽からの距離の関数として表した質量の分布と密度)が間違いなく、滑らかでも一様でもなかったことがわかるという。
小惑星帯の質量が最初から非常に小さかったことは予想外なのか。
デイエノによると、小惑星帯が当初はどのくらいの質量を持っていた可能性があるかをめぐっては、惑星科学者の間で長年論争が繰り広げられている。だが、小惑星帯が当初からずっと低質量であることが、今回の論文で裏付けられた。
今回の研究では、全体として、太陽系の質量分布は太陽からの距離に応じて一様ではなかったとするシナリオや仮説を支持する結果が得られているという。
内太陽系がどのように形成されたかについてはどうだろうか。
デイエノによると、太陽系は恐らく複数の異なるリング状の領域に分布する微惑星(惑星の種になる小天体)で形成され、これが太陽系の不均一な質量分布につながったと考えられる。
地球型惑星は狭い範囲内で形成された可能性が高い
デイエノによると水星、金星、地球、火星は、太陽からの距離が約0.5~1.5AUにすべてが集中した、非常に幅の狭いリング状の物質で形成された。1.5AUを超えると、物質が非常に欠乏した領域だったと、デイエノは指摘する。小惑星帯が極めて小さな質量で成長したのは、まさにこの領域だと、デイエノは続けた。
(forbes.com 原文)