アマゾンのAIの活用は、もちろん廃棄物やサステナビリティの問題だけでなく、コストの問題でもある。同社の最新の年次報告書では、適切な梱包材を選ぶことを含め、「1個あたりの変動コストを削減する方法」が詳しく説明されている。
プラスチック製梱包材の削減
アマゾンが特にこだわっているのが、プラスチック製の梱包材の削減だ。プラスチックはリサイクルが難しく、消費者擁護団体CalPIRGの最近の報告書によると、店舗のゴミ箱に捨てられたアマゾンのプラスチック廃棄物は、リサイクルセンターにはほとんど届いていないという。アマゾンは昨年10月、オハイオ州ユークリッドの倉庫で、プラスチック包装をリサイクル可能な紙や段ボールに切り替えると発表した。AIモデルは、どの商品を紙袋のパッケージに安全に入れられるか、またどの商品がより頑丈なオプションを必要としているかを判断することで、この切り替えを支援したとフェントンは語った。
フェントンによると、オハイオ州の配送センターでは紙と段ボールへの切り替えが完了したという。しかし、彼女はアマゾンの他の米国の配送センターがいつ、同様な取り組みを完了させるかについては回答を避けた。また、新たな法律により使い捨てプラスチック包装が間もなく禁止されるヨーロッパでアマゾンは、プラスチック製の配送袋や緩衝材を紙や段ボール素材に置き換えている。
アマゾンは、2040年までに二酸化炭素(CO2)排出量を正味ゼロにすることを目標に掲げている。同社の最新のサステナビリティレポート(2022年版)は、9000台以上の電気自動車(EV)で1億4500万個の荷物を世界中に配送したことにより、CO2排出量を0.4%削減したと発表している。パッケージが小さければ小さいほど、1台の車両に積載できる量が増えるため、パッケージの選択も間接的に配送のCO2排出量(とコスト)に影響を与える可能性がある。
一方で包装のサステナビリティに関する新たな規制や法律が、このような取り組みを後押しする可能性もある。マッキンゼーのフェバーは、「持続可能性とコストにおける真のブレークスルーは、すべてのサプライチェーンの協力によって実現する」と語った。
(forbes.com 原文)