テスラが「自動運転中の死亡事故」に関する裁判で遺族と和解

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テスラは米国時間4月8日、同社の自動運転機能を使用中の事故で死亡したモデルXの所有者の遺族が起こした訴訟で和解した。


この訴訟は、2018年にシリコンバレーで起きた事故で死亡した、元アップルエンジニアのウォルター・ファンの遺族が、テスラを相手取って起こしたものだ。両者の和解条件は、現時点では公表されていない。

カリフォルニア州の裁判所では8日から陪審員の選定が始まる予定だった。

ファンの未亡人と子どもらは、ファンのモデルXが高速道路の走行車線から外れて中央分離帯に衝突したのは、自動運転機能に欠陥があったためだと主張し、テスラを訴えていた。

遺族らは、ファンがテスラの高度な自動運転機能は「人間が運転する車よりも安全だ」という同社の主張を信用していたが、実際にはファンの車両には、当時他の自動車メーカーから広く提供されていたような効果的な衝突防止システムがなかったと主張していた。

米国家運輸安全委員会は、調査の結果、事故を起こしたモデルXが「システムの限界」によって車線を逸脱し、障害物を検知するように設計されていなかったと結論づけた。しかし、同委員会はそれと同時に、ファンがスマートフォンのゲームに気を取られていたために、適切な対応をとれなかったと指摘し、車両がそれを検知すべきだったと述べた。

一方、テスラはこの事故の原因について、運転中にゲームをしていたファンが「オートパイロット機能を誤用したことが原因だ」と反論。同社はドライバーに「注意を払う必要があること」や、同社のアシスト技術が「完全な自動運転を行うことを意味しないこと」を明確にしていると主張した。

テスラは長年、その自動運転機能を大々的に宣伝し、自らがこの業界をリードする企業であり、最終的には完全な自動運転を可能にして道路をより安全にすると約束してきた。

しかし、同社はその技術の安全性をめぐって厳しい批判にさらされており、何百件もの衝突事故が報告されている。その中には死亡事故も含まれているほか、急停車やその他の危険な技術的問題に対する苦情も寄せられている。

テスラは以前から、同社の車両が完全な自動運転ではなく、ハンドルから手を離さず道路を見守る「注意力を持ったドライバー」が必要だと主張してきた。しかし、批評家たちは、一部のオーナーは自動運転機能を過度に信頼し、道路から注意をそらすことができると考えていると反論している。

2023年、テスラは約200万台のリコールを実施し、ソフトウェアのアップデートを通じてドライバーにより明確な注意を促した。一方、米証券取引委員会は、テスラが投資家に対して誤解を招くような安全性の主張を行ったかどうかを調査していると報じられている。

同じく2023年、テスラはオートパイロットシステムによる死亡事故をめぐる2つの裁判で勝訴し、陪審員たちは同社の技術に欠陥はなく、「ドライバーは運転中に注意を払う必要があることを適切に警告されていた」と判断した。

イーロン・マスクは先週、テスラが8月に待望の「ロボットタクシー」を発表する予定だと述べた。彼はまた、テスラがロボットタクシーに集中するために低価格の電気自動車(EV)の計画を棚上げしているとロイターが報じたことについて、「彼らは嘘をついている」と非難した。

forbes.com 原文

編集=上田裕資

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