ソフトバンク・ビジョン・ファンドやスポティファイへの投資で有名なノースゾーン、商業用不動産大手のJLLなどからの支援を受けたインフォグリッドCEOのウィリアム・カウエル・デ・グルーチは、2022年には売上高が1億ドル(約150億円)に達する勢いだと主張し、次のステップを探していた。
しかし、デ・グルーチは、彼が会社の売上高を水増ししていたと主張する訴訟に直面している。インフォグリッドは、米国の競合でオフィスやビルのエネルギー消費を効率化するAquicore(アクィコア)を買収しようとしたが、投資家の一人が起こした訴訟によると彼は、支払いを約束した4300万ドル(約65億円)を用意できなかったという。
アクィコアに出資するKストリートキャピタルは、この訴訟でインフォグリッドが買収資金を用意できないことを知ったのは取引完了のわずか2週間前だったと主張している。3月にデラウェア州地方裁判所に提出された訴訟で彼らは、インフォグリッドの実際の収益が、デ・グルーチが約束した額の3分の1しかなかったと訴えた。
Kストリートキャピタルの弁護士ダニエル・A・グリフィスは訴状で、「インフォグリッドの業績に関する虚偽で誤解を招く情報は、インフォグリッドが独占交渉に入るよう誘導した後に、アクィコアの経営陣と主要な債券保有者に繰り返し伝えられた。彼らがこの嘘を撤回したのは、合併が完了した数カ月後のことだった」と書いている。
インフォグリッドは、まだ抗弁書を提出していないもの、同社も争う姿勢を見せているという。
この訴訟で争うのは、Kストリートキャピタル(アクィコア創業者のローガン・ソーヤの夫であるペイジ・ソーヤが運営)、アクィコアCEOのクリーブ・アダムス、インフォグリッド、さらには買収に関与した他のアクィコアの投資家たちだ。
ワシントンDCを拠点とするKストリートキャピタルは、アクィコアに貸し付けた転換社債の条件によって、この買収から150万ドルの支払いを受ける権利があったと主張している。インフォグリッドは、4300万ドルの買収資金を調達できなかった後、Kストリートキャピタルに対しセラーズノート(買収資金の一部を売り手から調達するために発行する債券)を大幅なディスカウントで提供したが、この社債は後にインフォグリッドの株式に転換された。
「インフォグリッドは、何度も嘘をつき、約束を反故にした挙句、クロージング時に現金4300万ドルを支払うどころか、1年以上経った今、最初に約束した額の数分の一の価値しかない流動性の低い株式で返済しようとしている」と彼らは主張している。