ソフトバンクが出資の中古車プラットフォームCarroが香港に進出

(C)Carro Singapore

シンガポールを拠点とするオンライン中古車マーケットプレイスのCarro(カーロ)は3月7日、香港のBeyond Cars(ビヨンドカーズ)を非公開の金額で買収したと発表した。この買収により、同社はシンガポールに加えマレーシア、インドネシア、タイ、日本、台湾、香港の合計7つの市場にプレゼンスを拡大した。

カーロの共同創業者でCEOのアーロン・タンは声明の中で「香港では電気自動車(EV)の普及率が高いため、当社の価格設定アルゴリズムをさらに強化し、EVに合わせたエンド・ツー・エンドのソリューションを提供することが可能になる」と述べた。香港では近年、環境対応車を奨励する政府の税制優遇措置を追い風にEVの導入が加速している。

香港で新規に登録された民間の自動車にEVが占める割合は、公式データによると2019年の6%から2023年11月には64%に急増した。

「カーロの自動車テクノロジーに関する専門知識と、ビヨンドカーズの香港における幅広いネットワークを組み合わせることで、私たちは事業を拡大し、ブランドを新たな高みへと導くことができると確信しています」とタンは付け加えた。

2015年に設立されたカーロは、個人やディーラーが中古車を売買できるオンラインプラットフォームを運営している(編集注:日本では法人向けに新車と中古車のリースプランの提案を行っている)。同社はまた、自動車保険や自動車ローンも提供しており、EVへの乗り換えを希望するドライバー向けのローンも用意している。

東南アジアで「最も収益性が高い」オンライン中古車プラットフォームを自称するカーロは、2023年3月までの1年間のEBITDA(利払い・税金・減価償却・償却控除前利益)が400万ドルの黒字だったと述べている。同社は、売上高と取引高で「東南アジア最大」のオンライン中古車マーケットプレイスだと主張するマレーシアのCarsome(カーサム)と直接競合している。

カーロは、累計7億シンガポールドル(約776億円)以上を調達したと述べており、2021年6月にソフトバンク・ビジョン・ファンド2が主導したラウンドで3億6000万ドルを調達し、ユニコーンの地位を獲得した。同社の他の出資元には、シンガポールのテマセクやマレーシアの国営ファンドのペルモダラン・ナショナル(PNB)などが含まれる。

カーロは昨年6月、香港の財閥ジャーディン・マセソンの投資部門のジャーディン・サイクル&キャリッジ(JC&C)と6000万ドル以上の取引で提携した。この提携により、同社は質の高い中古車にアクセス可能になり、JC&C傘下のシンガポールの自動車ディーラーRepublic Autoとの協業を開始した。

forbes.com 原文

編集=上田裕資

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