アジア

2024.04.08 09:00

中国経済、過去の成功にすがらない改革でGDP20%増も可能 IMFトップが提言

中国では、デフレが強まる中で企業や家計の信頼感は低下している。不動産開発業者のバランスシートから不良資産を取り除く動きも遅々としたものだ。より活発な資本市場や、より強力な社会的セーフティーネットを構築しようという断固とした動きもない。

また、習主席が率いて10年超になる「中国株式会社」の透明性にも、改善の兆しはない。香港の成功に学ばず、それどころかかつて「最も自由」と称賛された香港経済を「中国化」している──世界が目の当たりにしているのはそんな光景だ。

こうした現状を反映して、ゲオルギエバ専務理事が北京での演説で詳述したToDoリストは、長く悲観的なものとなった。

「これらの課題に取り組むことは、質の高い成長という新時代へのスムーズな移行に不可欠だ」と同専務理事は述べ、こう続けた。「われわれの分析によれば、未完成のままの住宅在庫を減らす断固たる措置をとり、不動産セクターに市場原理による調整の余地を与えることで、現在不動産セクターが抱える問題の解決を加速させ、消費者と投資家の信頼を高めることもできる」

「質の高い成長のカギとして、内需を高める必要がある。そのためには、個人や家計の購買力の底上げが肝要だ。中国の社会保障制度は、世界におけるどの社会保障制度よりも多くの人口を対象としている。しかし、対象範囲をさらに拡大し、保障を手厚くする余地はある。財政的に適切な形で年金制度を強化する、といったことが考えられるだろう」

IMFは、中国の国内消費が「所得の伸び」に依存しており、それが資本と労働の生産性に頼ったものである点も強調している。

「ビジネス環境を強化したり、民間企業と国営企業の競争条件を公平にしたりするといった改革が、資本の配分を改善するだろう」とゲオルギバ専務理事は語った。「教育や生涯訓練、リスキリングなどの人材開発や、質の高い医療への投資は、労働生産性の向上と所得の増加をもたらすはずだ」
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翻訳=長谷 睦/ガリレオ

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