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2024.03.28 16:45

オワハラ、就活塾─現役大学生が見た新卒就活の「病巣と処方箋」

石井節子

現役就活生は、選考企業にこう提言する


以上でZ世代の就活生が直面する問題点や苦悩を明らかにしてきたが、それぞれの観点においてどのように問題を解決できるか、学生なりの視点から提案したい。

「1.就活早期化による学業との両立の難しさ」に関しては、学生側の学業の都合を優先的に考え、春休みに選考をするなどの考慮をしてもらえれば、学業との両立も可能になると考える。

企業ごとに選考時期の牽制があると考えられるため実現に困難は伴うかもしれないが、例えばテスト期間を考慮して貰えるだけでも就活生としてはとてもありがたいのである。

「2.学生側に企業を選ぶ権利がない」に関して、とくにオワハラについては、法的根拠がないどころか、不法行為にあたるため、企業側が罰せられる可能性があるようだ。他の企業を受けさせないように誓約書を書かせる行為は、具体的には、以下の法律に反している。

(民法709条)応募者の自由意思を害するような態様で他社への就職活動を取りやめるような発言がなされた場合には、不法行為による慰謝料の対象になり得る

(刑法222条、223条)その発言の内容や程度によっては、脅迫罪・強要罪などの刑法上の犯罪となる場合もある 

就活生には、企業の圧力に屈するべきではないことをぜひ心に留めて貰いたい。誰もが自分が本当に実現したい進路を実現する権利を持っている。

「3.テクニック化する就活、10分の面接で人生が決まる」に関して、10分の面接の一発勝負よりも、アメリカのように低学年のうちから長期的にインターンをして、ゆっくりと見極める選考方法の方が本質的ではないだろうか。

新卒採用にここまでのお金をかけるのは現実的ではないかもしれない。しかし、「テクニックだけで就活を乗り切って、肌に合わない会社に入社し、早期に会社を辞めていく」という最悪の事例を防ぐためにもゆっくりと見極める選考方法は重要なのではないかと考える。

「4.学歴フィルター」に関しては、「選考過程で大学名を言わず、本人のポテンシャルだけを見るようにする」など、学歴に囚われないアプローチを行っている企業もある。

選考過程で大学名を言うことの問題点とは、〇〇大学出身、という枠になんとなく当てはめてその人と接してしまうことだと考える。

本人の努力を可視化するツールとしての学歴も重要かもしれないが、学歴は全てではない。各企業は選考過程で大学名を言わないなどのアプローチを取り入れてみてはどうだろうか。

まとめ:Z世代がみる現代日本の就活


これまで、Z世代の就活生が直面する問題点、そしてその解決策を学生なりの視点から提起してきた。まとめると、現代日本の就活の問題点として、就活早期化、学生の企業選択権の不足、テクニック化する選考プロセス、学歴フィルターなどが挙げられる。

ここで提言した「解決法」の実現可能性は、企業側の現実に照らせばけっして高くはないだろう。だが、選考の方法に今後、小さくてもなんらかの革新が起きることを、渦中にある就活生として期待せずにはいられない。

本記事をきっかけに、Forbes JAPAN読者の方に日本の就活の現状を知っていただけたとすれば幸いである。

文=神谷果歩(Forbes JAPANスチューデント・エディター) 編集=石井節子

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