アイスランド、火山噴火後に深刻なガス汚染を警告 有名地熱スパも休業

アイスランドのグリンダヴィーク、現地時間3月16日(Getty Images)

アイスランド政府は現地時間3月21日、同国内で発生した最新の火山噴火により生じた大気汚染による健康被害の可能性があるとして、地元住民に屋内にとどまるよう呼びかけた。この噴火では、近隣地域の避難が実施され、陥没や地震、溶岩流の恐れから、世界的に有名な地熱スパも休業を余儀なくされている。

アイスランド市民保護緊急管理局(Iceland’s Department of Civil Protection and Emergency Management)は、レイキャネス半島の火山噴火によって放出された二酸化硫黄ガスが「大量になると危険である」と述べ「できるだけ屋内に留まる」よう地域の住民に警告した。

アイスランド気象庁は噴火地点に最も近いエリアは「危険度のレベルが非常に高い」とし、グリンダヴィークの周辺地域も陥没や地殻変動、溶岩流の危険性から「危険レベルが高い」と発表している。

同庁は、噴火から離れた地域では汚染リスクが低下していると指摘しつつも、ガス汚染のリスクは「非常に高い」としている。

グリンダヴィークにあるブルーラグーン地熱スパは現地時間3月21日に、3月22日まで一時休業すると発表し、その後状況を再評価するとしており、すでに施設から避難したことを明らかにした。

公営放送RUVの報道によると、スヴァルツェンギにある発電所は今週初めにガス汚染の健康被害を懸念し、すでに避難が完了している。

欧州連合のCopernicus Climate Change Service(コペルニクス気候変動サービス)によれば、先週の噴火時に火山から噴出したガス柱の高さは5マイル(約8キロ)に達したという。二酸化硫黄の雲は週末にかけて北欧を越えてロシアにまで到達するとみられ、すでにアイルランドと英国にも及んでいると、当局者はCBSに語った。

米国疾病予防管理センター(CDC)によれば、火山噴火時に放出される二酸化硫黄は、呼吸器系、目や皮膚に重篤な炎症を引き起こす有毒ガスである。高濃度ガスへの曝露は、肺水腫(肺に余分な水分が溜まる状態)を引き起こす可能性がある。また、CDCは一般的に小児のほうが気道の径が小さいため、この有毒ガスへの耐性が低いとも伝えている。アイスランド気象庁もこのガスの影響で喘息患者が症状を悪化させる恐れがあるとし「長時間、高濃度のガスに曝されると死に至る場合もある」と警告している。

現地時間3月16日、レイキャビクから約32マイル(約51.5キロメートル)離れたグリンダヴィーク郊外の火山が、一連の地震活動の後、噴火したとRUVが報じた。レイキャビクの博物館「Perlan(ペルトラン)」は、アイスランドは、プレートの境界に位置しているため、毎年多くの地震と火山噴火が発生していると説明している。昨年12月には、数週間におよぶ数千回の地震の後、この地域の別の火山が噴火し、近くの漁村が避難を余儀なくされ、ブルーラグーンも休業した。

forbes.com 原文

翻訳=酒匂寛

タグ:

ForbesBrandVoice

人気記事