「ムスタファにとっては良い日だが、インフレクションの投資家や初期の従業員にとっては悪い日だ」と、AIユニコーンのAdept(アデプト)を支援してきたエア・ストリート・キャピタルの創業者のネイサン・ベナイチは述べている。消費者向けAIの競争にともなうコストの高さは「ほんのひと握りの企業だけが生き残ることを意味する」と彼は付け加えた。
エンタープライズ向けAIへの移行
一方、インデックス・ベンチャーズのパートナーで、すでにエンタープライズ向けのAI事業に注力しているCohere(コヒア)の取締役を務めるマイク・ヴォルピは、コンシューマー向けのAIの競争の受益者となるのは、マイクロソフトのようなビッグテックだと述べている。彼は、もう1つの著名なAIユニコーンであるAnthropic(アンソロピック)の名前を挙げながら「コンシューマー向けに注力していた多くのAIスタートアップは、エンタープライズ市場に移行しようとするだろう」と述べた。
スレイマンの退社が、インフレクションの苦境を示すものなのか、それとももっと大きなチャンスが巡ってきたことを示すものなのかは不明だ。スレイマンは、2014年にグーグルが買収したAI企業のDeepMindの共同創業者としても知られているが、攻撃的すぎる経営スタイルを非難され、2022年に退社していた。
昨年末に、別のAIユニコーンのHugging Face(ハギング・フェイス)のCEOのクレマン・ドランジュは、2024年に少なくとも1社の大々的に宣伝され話題になっているAI企業が買収されるか倒産することになると予測していた。
「このような事態は、誰も予想していなかったが、驚くべきことでもない」と投資家のベナイチは付け加えた。「独禁法の当局が、M&Aの規制を強化すれば、このような奇妙なエグジットがより一般的になるかもしれない」と彼は述べている。
(forbes.com 原文)