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2024.03.21

AIユニコーンInflection AIが個人向け事業を断念、CEOはMSへ移籍

ムスタファ・スレイマン(Leon Neal/Getty Images)

マイクロソフトは3月19日、生成AIのスタートアップ企業Inflection AI(インフレクションAI)の共同創業者でCEOのムスタファ・スレイマンを、同社が新設する人工知能(AI)製品の研究部門の責任者に抜擢したと発表した。

昨年40億ドル(約6000億円)の評価を受けたインフレクションは、これまでコンシューマー向けのAIに特化していたが、新CEOとして元Mozilla(モジラ)のリサーチ責任者のショーン・ホワイトを迎え、エンタープライズ分野に重点を移すと発表した。

マイクロソフトのサティア・ナデラCEOはブログで、スレイマンが同社のコンシューマー向けAIへの取り組みを指揮し、Copilotを含む「マイクロソフトAI」と呼ばれる新たなグループを作ると説明した。インフレクションの共同創業者でチーフ・サイエンティストのカレン・シモニャンと複数のエンジニアや研究者も、同グループ設立のためにマイクロソフトに移籍するという。

インフレクションの3番目の共同創業者で取締役でもあるリード・ホフマンは、LinkedInへの投稿で、今回の動きが「インフレクションの投資家全員が良い結果を得ることを意味し、私は良いアップサイドを期待している」と述べている。

直近までチャットボット「Pi」に注力してきたインフレクションは今後、APIを外部企業に提供することに注力する。昨年6月にマイクロソフトやエヌビディアなどから13億ドルを調達し、昨年11月に「Inflection-2」と呼ばれる最新の大規模言語モデル(LLM)を発表したばかりのインフレクションのこの動きは、驚くべき逆転劇だ。「Piは、非常に人気があり、リテンションも高い」とスレイマンは当時フォーブスに語っていた。

スレイマンはまた、20日のブルームバーグのインタビューで、インフレクションが投資家だけでなくユーザーからの支持も集めていると述べ、Piの1日のユーザー数が100万人に達したと語った。しかし、彼は効果的なビジネスモデルはまだ見つかっていないとも述べていた。
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編集=上田裕資

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