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2024.03.18 08:35

中国アントグループのAlipay、アジア各地で電子マネー事業を戦略的に拡大

インドからは徐々に撤退

パキスタンやスリランカでの事業拡大とは対照的に、アントインターナショナルはインド市場から徐々に撤退しつつある。このような有望なフィンテック市場から撤退する主な理由は、中印関係が緊迫化し、インドがテック大手に対する規制を強める中、中国企業にとってビジネス環境がますます厳しいものになっているためだ。

アントはかつて、インドのフィンテック業界のユニコーンであるPaytm(ペイティーエム)の株式を大量に保有していたが、現在はその売却に追われている。昨年8月にアントはペイティーエムの創業者ビジェイ・シェカール・シャルマに株式の10.3%、6億2800万ドル(約936億円)相当を売却。同月さらに3.6%を公開市場で売却した。

アントが残り10%のペイティーエム株を売却しても驚かない。インドの規制当局からそうするよう圧力がかかる可能性もある。またペイティーエム傘下の銀行の免許取消しが迫っていることやコンプライアンス違反の疑いでペイティーエムの将来性は疑問視されている。

訪欧アジア人観光客へのサービス提供

Alipay+は今後、アジア人旅行者の消費力と、アジアを越えて増えつつある提携電子マネーのネットワークを活用することを視野に入れている。米国にも事業拡大のチャンスはあるが、米国では今年大統領選挙があり、中国のテック企業は引き続き議員らによって注意深く監視されているため、米国での大規模な事業拡大は論争の的になる可能性がある。

対照的に欧州では障害が少なく、アリペイは今月14日に欧州サッカー連盟(UEFA)が主催する第17回欧州選手権でワールドファースト(2019年に買収)と提携すると発表した。この提携により、Alipay+のネットワークのドイツでのカバー範囲が全国に拡大される。アリペイ、アリペイHK、マカオのMPay(エムペイ)に加え、マレーシアのTouch'n Go eWalletとMyPB、モンゴルのHipay(ハイペイ)、フィリピンのGcash(Gキャッシュ)、シンガポールの Changi Pay(チャンギペイ)とOCBC Digital(OCBCデジタル)、タイのTrueMoney(トゥルーマネー)、韓国のカカオペイ、Naver Pay(ネイバーペイ)、Toss Payといった電子マネーも提携に含まれる。

中国が中東や中南米、アフリカと経済関係を深めていることから、アントインターナショナルは今後、これらの地域にも進出することが見込まれる。

forbes.com 原文

翻訳=溝口慈子

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