だが、最新の分析装置を用いた今回の研究では、化石の軟組織と考えられていた部分が本物ではなく、捏造された可能性が高いことが明らかになった。
今回の研究をまとめた論文の筆頭執筆者で、アイルランド・コーク大学生物学・地球環境科学部のバレンティナ・ロッシは「化石の軟組織は希少だが、化石に含まれていた場合は、外見の色、体内の解剖学的構造や生理機能などの重要な生体情報を明らかにする手がかりとなる可能性がある。すべての疑問に対する答えが、まさに目の前にあった。そのため、この化石標本を詳細に調査し、秘密を明らかにしなければならなかった。たとえそれが、知りたくなかったかもしれないことでもだ」と説明している。
紫外線を用いた最初の調査では、紫外線に反応するある種の塗料で標本全体が処理されていることが判明した。化石にニスやラッカーを塗布するのは、かつては普通に行われていたことで、今でも博物館の保管庫や展示で化石標本を保護するために必要となる場合もある。この場合は、粗粒岩の表面にある化石の見た目を良くする試みである可能性が高かった。塗料の層の下で、本物の軟組織が依然として良好な状態にあり、古生物学的に意味のある情報を引き出せることを、研究チームは期待していた。だが、X線を用いた化学分析では、有機物の痕跡がまったくないことがわかった。
しかしながら、まだ望みはある。化石は完全な捏造品というわけではないのだ。後肢の骨、特に大腿骨が、保存状態は悪いものの本物と思われる。さらには、この動物の背中だったと見られるところに、ワニ類の鱗に似た皮骨板と呼ばれる、微小な骨質の鱗があることが、今回の最新分析で明らかになった。
また、トカゲに似た動物が当時生息していたのは、爬虫類の足跡や柔らかい泥に残された尾を引きずった跡などの生痕化石が見つかっていることで裏付けられている。
今回の研究をまとめた論文「Forged soft tissues revealed in the oldest fossil reptile from the early Permian of the Alps」は、専門誌Palaeontologyに掲載された。論文はここで閲覧できる。追加情報とインタビューはコーク大学より提供された。
(forbes.com 原文)