香港の通信大手HGCグローバル・コミュニケーションズは「SEACOM」「TGN」「AAE-1」「EIG」のケーブル4本が紅海で「切断」されたと報告した。
HGCによると、インターネットトラフィックの推定25%に影響が及び、現在、中国本土を経由して東へと迂回して米国へつなぐ措置をとっているという。
モーリシャスを拠点とするアフリカのプロバイダー、SEACOMは米紙ウォールストリート・ジャーナルに運用するケーブルが紅海で損傷したことを認めた。また、紅海の情勢が不安定なため、修理は早くても今年第2四半期になると説明した。
EIGは、米通信大手のAT&Tやベライゾンを含むコンソーシアムによって建設されたが、4日時点では2社はサービスへの影響について明らかにしていない。
TGNを運用するインドの通信会社タタ・コミュニケーションズは、イエメン近くでケーブルが損傷し、一部のサービスが停止または迂回されたことをAP通信に認めた(タタはフォーブスからのコメント要請には応じなかった)。
SEACOM、AT&T、ベライゾンはフォーブスのコメントの求めに応じておらず、米国務省やその他の政府機関もこの件に言及していない。
米国土安全保障省が2017年に発表した研究報告によると、大陸間の電子通信の97%は、海底に張り巡らされた光ファイバーケーブルを使って行われていると推定されている。同研究では、中東を通るケーブルの重要性を明確に示す例を挙げている。2013年にダイバー3人がエジプト・アレクサンドリア近くの海底ケーブルを故意に切断した後、同国のインターネット速度は約60%低下したという。
紅海のケーブルが損傷した可能性があるという報道は先週から出回り始めた。イスラエルのメディアの少なくとも1社は、イエメンを拠点とする親イラン武装組織フーシ派の仕業だと報じた。フーシ派はパレスチナ自治区ガザ地区で行われている戦争でイスラム組織ハマスを支援するために紅海を航行する貨物船を標的にしている。
フーシ派はケーブルに関する疑惑を断固否定している。2月27日付の報道資料では「すべての海底通信ケーブルとそれに関連するサービスに影響が及ばないことを望んでいる」と述べ、ケーブルを「修理・保守」するための施設を提供することも約束した。
ケーブルの損傷については、英国登録でベリーズ船籍の貨物船「ルビマー」が原因かもしれないとみる向きもある。このほど沈没したルビマーは2月18日にフーシ派の攻撃を受け、乗組員が避難。沈没する前に紅海を漂流し、その間錨(いかり)を引きずっていたため、1本または複数のケーブルを切断した可能性がある。
SEACOMの広報担当者はウォールストリート・ジャーナルに、沈没したルビマーによってケーブルが損傷した可能性は「ありえる」と語ったが、断定には至っていない。英国に本部を置く非政府組織の国際ケーブル保護委員会(ICPC)によると、海底ケーブルが損傷する事故は毎年平均150件発生しており、その大半は商業漁業や錨を下ろす作業によるものだという。
(forbes.com 原文)