宇宙

2024.03.04 17:00

天の川銀河の起源をたどる「バーチャル宇宙」、南米の天体物理学者チームが構築

天の川銀河(銀河系)の渦状腕やバルジなどの構造を詳細に示したイラスト(NASA/JPL-Caltech/ESO/R. Hurt)

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ペドロサによると、超新星爆発が起こると、大量のエネルギーと化学元素が星間媒質中に再放出されることで、星間媒質の熱力学的性質と化学的性質が変化する。この作用が、星形成を調節するために不可欠なのだという。
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銀河系はどのくらい独特か?

ティセラによると、ありふれた銀河の1つだが、過去数十億年間に大規模な衝突合体を経験していないという点では、希少な銀河だという。

宇宙の起源とされるビッグバン(大爆発)から30億年後には、銀河系の形態がほぼ定まった。

ティセラもペドロサも、銀河系は渦巻銀河の全体的な傾向から大きく外れた銀河ではないと考えている。だが、化学的進化が非常に進んでいるため、数十億年にわたる化学元素の供給から恩恵を受けていることは明らかだ。地球に多量に含まれている鉄や希土類金属は、数十億年にわたる超新星の元素供給の過程で、恒星での元素合成で生成されてきたものだ。
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実際、年齢が100億年とされる銀河系には、それよりも前に形成された、宇宙自体と同じくらいの年齢の太古の恒星が含まれている可能性がある。

こうしたことのすべては、宇宙の進化において宇宙生物学的なベクトルがあるのかどうかと、改めて考えさせられるきっかけとなる。宇宙規模の時間にわたる化学元素の供給から恩恵を受けた知的生物が地球人だけとはとても考えにくい。結局は、純然たる物理学や化学や生物学が、最後に勝つことになるのだろう。

地球上で知られているような生命に必要とされる化学元素をすべて備えた惑星に暮らすことができて、地球人は幸運だと、ティセラは指摘する。ここは銀河系の中でも非常に独特な場所なので、この惑星を大切にするべきだと、ティセラは話した。

forbes.com 原文

翻訳=河原稔

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