北米

2024.03.01 10:30

アマゾンが「隠しカメラ」の販売で法的責任を問われる可能性

Shutterstock.com

Shutterstock.com

ネット上では、クマのぬいぐるみやジャケットのボタン、芳香剤、バスルームのフックといった日用品に仕かけた隠しカメラが販売されており、誰でも簡単に購入することができる。アマゾンやeBayにおけるこれらの製品の商品説明には、配偶者の浮気調査や、子どもの見守り、防犯などのために設計されていると記されており、目覚まし時計型隠しカメラの購入者が投稿したレビューには「夫の浮気を発見。離婚時の扶養手当を増額することができました」などと書かれている。

しかし、これらの隠しカメラは、有害な目的に使われる恐れもある。米連邦捜査局(FBI)の2018年から2023年にかけての児童に対する性的搾取の捜査資料をフォーブスが調査したところ、少なくとも9件においてアマゾンやeBayで購入された隠しカメラが、未成年者の寝室や浴室を撮影するために使用されていた。

容疑者の1人であるキャメロン・マクビーは、アマゾンで購入した隠しカメラを使って児童の性的搾取に該当するコンテンツを作成していた。司法省の発表によると、マクビーはメッセージアプリ「Kik」上でグループを運営しており、メンバーに児童への性的搾取を目的とした画像や動画を共有することを求めたことで有罪になった。マクビーには、2023年8月に終身刑の判決が下された。

このようなスパイ行為の被害を受けたあるブラジル人の未成年の女子学生は、隠しカメラを販売したとしてアマゾンを訴えている。彼女は、米国への交換留学の途中にアマゾンが販売した隠しカメラで盗撮されたとして、同社と係争中だ。

米国で行われた裁判でアマゾンは責任を否定していたが、裁判官は12月にアマゾンが過失や製造物責任を含む原告の主張を聞くべきだと述べた。同社は、1月末にも原告の訴えを棄却するよう求め、申立書の中で同社には落ち度がなく、責任はスパイ行為を行ったとされる男性、または旅行を主催したCouncil for Educational Travel of Americaにあると述べた。現在、容疑者はウェストバージニア州で裁判にかけられている。
次ページ > 販売が「違法」と判断される可能性

編集=上田裕資

タグ:

advertisement

ForbesBrandVoice

人気記事