ブラジル公共セキュリティフォーラムによると、2022年に同国で盗難に遭ったデバイスは前年比16%増の100万台近くに上ったという。
この問題に対処するため、ブラジル法務省は、国家電気通信庁(Anatel)やブラジル銀行連盟(Febraban)、モバイル・ポータビリティを扱うABRテレコムと共同で、Celular Seguro(セルラー・セグロ)と呼ばれるアプリを立ち上げた。これは携帯電話を盗まれた個人が、アプリやウェブを通じて、端末をブロックできるようにするものだ。
セルラー・セグロの導入は熱狂的に受け入れられ、最初の2週間で100万人以上の登録があった。法務省の先日の発表によると、サービス開始後の2カ月間で約2万3000台の端末がブロックされた。1日の平均ブロック数は300台で、2月9日から17日まで開催されたリオのカーニバルの期間中は平均530台に達したという。
政府の発表によると、現在120万台のスマートフォンがこのサービスを利用するために登録されている。しかし、ブラジルで現在使用されているデバイスは2億5000万台近くあり、普及はまだ進んでいない。また、このアプリは予期せぬ問題を引き起こした。好奇心からこのシステムを試してみたものの、その後デバイスのロックが解除できなくなった人たちがいたのだ。
被害者が複数の政府機関や銀行機関に通知するためのプロセスを備えたこのシステムは、ユーザーが市民IDとともに電話番号を登録した場合に機能する。また、このツールは信頼できる連絡先を登録することも可能で、その連絡先がユーザーに代わって警告を発することもできる。
しかし、この政府主導のツールには限界があり、端末をブロックするプロセスは即座には完了しない。ABRテレコムは6時間以内にブロックのリクエストを転送するが、キャリアはそれを実行するために1営業日を要する場合がある。また、銀行の対応時間もまちまちで、すぐにアクセスをブロックできると主張する銀行もあれば、最大30分かかる場合もある。
しかし、このような欠点はあるものの、セルラー・セグロは、端末のIMEI(識別番号)をブロックする従来の方法よりは飛躍的に進歩したと見られている。従来の方法では、通話やモバイルデータへのアクセスを防ぐことはできるが、金融詐欺やデータ窃盗を阻止するには不十分と考えられていた。
このツールの次のステップとしては、SIMカードのブロッキングを含むサービス拡張のためのアップデートが計画されている。また、セルラー・セグロは、端末を完全に無効化することはしない。これは、OSのブロックが必要となるためで、今のところ、このプロジェクトに参加する予定の大手開発者はグーグルのみである。
(forbes.com 原文)