また、仕入れ数も重要だと、河野さんはさらに教えてくれる。量販店に卸す商品を作ろうとすると、20〜30トンの量が必要になる。しかし、モンマルシェのようにB to Cの商品なら、3トンくらいがちょうどいいのだという。
「それくらいの量を作っている農家さんって多いんですよ。たとえば、長野のバターナッツカボチャを作っている農家さんには、できた分だけ全部買い取りますと伝えています。多くできたらそれだけ商品を作ればいいし、少なくても今回はこれだけできましたとすればいい。B to Cの商品だからできることなんです」
どんな野菜も、おいしいものであればどんどんスープにしてみる。仕入れられる量であれば、買い取る方法を模索する。河野さんはそうして「野菜をMOTTO」を開発してきたというわけだ。
ただ、ここまで国産にこだわることに対して、BLACK LAVELを作った時のように、社内から懸念されたことは多かったと振り返る。卸をして販売する方が売り上げは大きいし、国産野菜に限定すればリスクもあるのだから、懸念はごく当たり前のことなのかもしれない。
「国産野菜に限定すると、安定した供給は約束できません。天候不順で不作のこともありますから。でも、売り上げを追うよりも、いいものを作りたいという思いを優先しています。スポットライトを当てることで、国産野菜を作る人が増えてくれたらうれしいし、農業が活性化すれば、日本全国の地域創生にもつながると考えています」
いいものを作って売るという、ツナ缶で確たるものにしたモンマルシェの信念を、スープにおいても貫いているということなのだろう。河野さんは、その考え方で商品を開発し続け、実際に結果も出している。
「本当にいいものを作って提案しなければ、事業として意味がない。覚悟を持って作りたいと考えてきました。結果、BLACK LAVELを作る前に比べたら、会社の年商は10倍近くに伸びたんです」と誇らしげに教えてくれる。
これからの展望を聞くと、全国の農家さんともっと繋がりを強めて活性化していきたいし、スープを欧米やアジアにも展開していきたい、と話は尽きない。
反対や懸念があっても、いい商品を開発し、作って、売る。素材を育て、加工する人も、開発する人も、売る人も、みんなが誇りに思えるものを。モンマルシェへ期待する人は、これからもっと増えていくに違いない。
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(本記事は「読むふるさとチョイス」からの転載記事です。)