SqueezeBitsは1月、プレシリーズAラウンドで約200万ドル(約3億円)を調達したと発表した。ソウルを拠点とする同社の評価額は、関係筋によると約1500万ドル(約22.5億円)になるという。このラウンドに参加した投資家には、インターネット大手カカオの投資部門であるカカオベンチャーズが含まれている。
カカオベンチャーズは、韓国で最も資金調達額の多いAIチップのスタートアップであるRebellions(リベリオンズ)の初期投資家としても知られている。エヌビディアのH100チップの約半額という安価なAIチップを開発するリベリオンズは、1月末に6億5000万ドル(約976億円)の評価額で1億2400万ドル(約186億円)を調達していた。
「AIモデルには、莫大な数のパラメーターが使用されていますが、多くの企業はモデルを完全に最適化して使用していないのです」と、SqueezeBitsの共同創業者でCEOのヒュンジュン・キム(Hyungjun Kim)は主張する。
「AIモデルには無駄なパラメータやデータが存在します。当社は、モデルや計算プロセスにおいて、無駄なデータや重要度の低いデータを取り除くことで、計算コストやメモリ使用量を削減し、安価で高速なオペレーションを実現します」と、韓国のテクノロジー関連の名門校、浦項工科大学(ポステック)で電気工学とコンピュータサイエンスの博士号を取得した29歳のキムは説明する。
キムによると、SqueezeBitsのツールはAIモデルを3~5倍高速化し、メモリ使用量を4分の1に削減することを支援するという。同社は先月、企業がオープンソースのAIモデルや独自の大規模言語モデル(LLM)をクラウドサービス用に最適化するためのSaaSツールを発表した。
エヌビディアが買収した企業も
もちろん、AIモデルを最適化する企業はSqueezeBitsだけではない。エヌビディアは昨年2月にサンノゼのOmniMLを買収し、アップルは2020年にシアトルのXnor.aiを買収した。また、この分野のスタートアップとしては、世界最大級のテック系投資家であるインサイトパートナーズが出資するイスラエルのDeciや、アンドリーセン・ホロウィッツらが出資するマサチューセッツ州のNeural Magicなどが挙げられる。また、SqueezeBitsの国内でのライバルとしては、2021年のシリーズBで1470万ドル(約22億円)を調達したNotaが挙げられる。
しかし、キムはこれらの競合との戦いに怯えていない。ハードウェアの開発には、ソフトウェアと比べて非常に多くの時間が必要であり、そのためSqueezeBitsのようなAIの最適化プロバイダーの需要が生まれる。「AI分野では数多くの新たな動きがありますが、ハードウェアはそのスピードに追いつけていません。アルゴリズムやAIモデルの非常に急速な進歩と、それをサポートできていないハードウェアとの間には、大きなギャップがあるのです」と、キムは語る。「そこで我々の出番となるわけです」。
(forbes.com 原文)