宇宙

2024.02.16

月探査ロボットで「天井裏の点検」 宇宙技術の思わぬマッチング利用

プレスリリースより

この春にアメリカの民間月着陸船Nova-Cで月へ行く予定の日本製月面探査ロボットが、老朽化したビルの天井裏の点検作業も行うという。もちろん、天井裏点検に特化した仕様で生まれ変わるのだが、そこには数々の月面探査技術が活かされる。

超小型月面探査ロボットYAOKIを開発する、ロボットおよび宇宙技術開発ベンチャーのダイモンは、東京都内に数多く存在する1960年代から高度成長期にかけて建設されたビルの天井裏を点検するロボットの開発を発表した。

ビルの天井裏には電気配線や水道配管などが設置されている。老朽化したビルでは配管も古く、漏水すればビル全体に大きなダメージを与えかねない。通常は点検口から技術者が入って状態を調べるのだが、点検口は少なく、狭い空間で足場を慎重に選びながら移動するのは至難の業だ。うっかり天井板を踏み抜いて転落する事故も少なくない。

そのため効率的な天井裏点検技術の需要が高まっている。ドローンやセンサーを使った点検技術も開発されているが、まだ人の目には及ばない。そこでダイモンは、YAOKIの応用を考えた。YAOKIは円筒形の2輪車で、手のひらに載るほどの超小型軽量だ。大きな車輪で月面を安定的に移動でき、ひっくり返っても「起き上がりこぼし」のように、すぐに体勢を立て直すことができる。YAOKIの名前は、七転び八起きに由来している。その機動性が天井裏という「難所」に向いている。

天井裏点検ロボットは、YAOKIに以下の変更を加えたものとなる。
・2輪を4輪に変更し、配管などの障害物の乗り越え性能を上げる。
・車輪を耐熱樹脂から弾性材に変更してグリップを高める。
・車輪を天井裏の走行に適した形状に変更する。
・月面探査用カメラを、広角カメラに変更し、立体把握センサーなどを追加して点検精度を高める。
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年内に開発を終わらせ、ビルオーナー、管理会社、メンテナンス会社などにむけて販売を行うということだ。将来的には対応する建物の範囲を広げ、さらに被災地救援や、配管、廃炉点検ロボットへの応用も計画している。

プレスリリース

文 = 金井哲夫

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