欧州

2024.02.06 12:30

ロシア軍の戦車同士が衝突、攻撃前に自滅 ブロガー「愚かさと無能の極み」と嘆く

有能な軍隊が戦車の操縦士を訓練するときには、攻撃に際してはハッチを閉じるのはぎりぎりまで待つように教える。ソ連の軍隊でもそれが標準的だった。

米中央情報局(CIA)も冷戦初期の報告書で「戦車のハッチはできるだけ長く開けておくのが原則だ」と説明している。「いうまでもなく、ハッチを閉じていると視界が制限されるので、操縦士も(外界が)よく見えなくなり、その結果、戦車の機動性が制限される」からだ。

だが、ロシア軍の「標準」は劣化している。より正確に言えば、それはそもそもしっかりしたものではなかった。米シンクタンクのCNAは「ロシアがウクライナに侵攻してからすぐ、ロシアの地上軍は訓練やドクトリンどおりに動かないということが明らかになった」と昨年9月の報告書で指摘している。

「何よりもそれが明らかだったのは機動面だ」とCNAは続けている。「キーウへのロシア軍の進撃は(2022年2〜3月に)停滞し、部隊は市街地で足止めされたり、狭い道路に誘導されたりした」

つまり、ロシア軍の訓練状態は2年前の時点でひどかったわけだが、今はそれよりもはるかにひどくなっている。ロシア軍は破滅的な損害を出すなか、前線全体の戦力をどうにか維持するため、もともと不十分だった訓練をさらに短縮し、兵士を準備不足のまま急いで前線に送り込んでいる。

ロシア軍では「経験不足の予備役や徴集兵がさらにウクライナ(の戦争)に動員され、消耗がさらに激しくなるにつれて、(中略)訓練問題は悪化する可能性が高い」とCNAは結論づけている。

ロシアは準備のいっそう整っていない兵士を投入して、3年目の戦争を進めようとしている。その過程で、ロシア軍の機械化部隊による今回のような悲喜劇がさらに増えることは容易に予想できる。

forbes.com 原文

翻訳・編集=江戸伸禎

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