「ヒトとコンピュータ」の関係が変わる節目
コンピュータの歴史をひも解くと、「ヒトとコンピュータ」の間をどのようにつなぎ、コミュニケーションさせるか、ある側面ではそのアプローチ方法によってコンピュータの世代が変化してきた(もちろん開発手法など他の視点もある)。パンチカードにプログラムを記録して入力していた時代から、ブラウン管に表示される文字で対話する時代となり、それがゼロックスのStarでグラフィカルなものとなった。そしてそのグラフィカルな対話の手法を、一般消費者向けの製品に落とし込んで洗練させたのがアップルのMacintoshだった。
Windowsをはじめ、現代のパーソナルコンピュータは、先月1月24日に40周年を迎えたMacintoshが作り上げたさまざまなモチーフを基礎に、さまざまな開発者が提案したアイデアが影響を相互に与えつつ、改良が重ねられ、作り上げられたものだ。
スマートフォンに関しても、似たような歴史をたどることができる。
スマートフォンと呼べるデバイスは1990年代の終わりには存在していたが、携帯電話がパーソナルコンピュータと一体化し、指先で操作できるデバイスとなったのは2007年のiPhoneである。その後、すぐさまそのモチーフに触発されたAndroidが後を追いかけ、出遅れたWindows Mobileは消えてしまったが、現在もiPhoneとAndoridは相互に影響を与えながら発展している。
いずれの場合も人々の仕事、日常生活、あるいは社会インフラに至るまで、あらゆる面で世の中を変えてきた。
初代Macintoshが商品としてどれほどの価値を、当時の消費者に提供できていたのか。初代iPhoneが製品として、当時の消費者になにをもたらしたのか。
視点によってそれぞれに評価は分かれるところだろうが、新たな歴史の出発点となったことは間違いない。ヒトとコンピュータの関係が変わる節目が、その後のテクノロジーの歴史を変えてきたことに疑いはないはないだろう。