進む三極化、2024年は価格のコントラストがより鮮明に
日本の不動産市場は、確実に縮小傾向にある。新築マンションの供給数および土地総額は、90年代のピーク時の半分以下。世帯数の減少が続く今後は、より一層縮小していくはずだ。そうした中、不動産バブルを形成しているのは上位10〜15%程度の高価格帯の不動産であり、2024年も引き続き売れ行きがいいと考えられるのもまたこれらの不動産である。高価格帯のものが売れれば当然、平均価格は引き上げられるため、24年も引き続きメディアには「平均価格が過去最高」などといった景気の良い見出しが並ぶことになるだろう。
一見すると不動産バブルが継続しているかのように思えるが、大切なのは自分の不動産や購入を検討している不動産が今どうなっているのか、今後どうなるのかを考えることだ。90年代のバブルと今のバブルでは、大きく様相が異なる。不動産価格が全国的に一律で上がっているわけではない現在では、もはやマクロデータの平均価格は意味をなさない。そもそも金利水準が大きく違う時点で、90年代のバブルとの比較は不毛でもある。
一部の不動産に見られるバブルがもたらすのは、市場の三極化の拡大に他ならない。日本の不動産の大部分(約70%)ではなだらかに価格が下落し続け、下位15〜20%程度の不動産では暴落も免れないだろう。このようなコントラストが一段と鮮明になっていくのが2024年だと、私は考える。
連載 : 日本の不動産最前線
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