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2024.01.23 12:00

サウジアラビアは石油に見切りをつけるのか?

サウジアラビアの新未来都市プロジェクト「NEOM(ネオム)」で構想されている直線型の高層都市「THE LINE」のイメージ図(Shutterstock.com)

サウジが直面する最も差し迫った懸念は、石油が枯渇しつつあることでも、エネルギーのグリーン転換によって化石燃料利用が段階的に廃止されることでもない。いずれも後々問題になる可能性はあるものの、当面は心配なさそうだ。世界屈指の産油国にとって、もっと喫緊の問題は別にある。
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まず見過ごされがちな点として、サウジは産油量で近隣諸国を上回るものの、人口もはるかに多く、産油量を上回るペースで急速に増加している。

石油生産量1バレルあたりの人口は、サウジが3.6人なのに対して、アラブ首長国連邦(UAE)は3人、カタールは2.1人、クウェートは1.6人である。湾岸協力会議(GCC)6カ国中で最大の国であるサウジは、貧困率も13.6%と最も高いのだ。

国の生活の質(豊かさ)の目安となる1人当たり国内総生産(GDP)は、世界銀行によれば実質値ベースで約2万ドルで、1991年とほぼ変わらず、30年にわたる経済停滞を示している。しかも小規模な産油国よりずっと低く、UAEの半分に満たない。
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世界市場では、石油輸出国機構(OPEC)に属さない産油国がシェアを拡大し、国際カルテルの力を削いでいる。OPEC加盟国は確認埋蔵量の80%近くを占めるが、原油生産量は40%程度にすぎない。

また、加盟国の多くが生産目標に従わないことも、サウジにとって問題となっている。ここ数年、加盟国の中には生産枠を達成できなかったり、キャッシュフローを増やすため意図的に生産量を増やしたりする国がある。貧しい加盟国は、石油収入を切実に必要としている。

サウジとロシアは原油価格を1バレル=100ドルに引き上げようと努めているが、米国による北米での増産と戦略備蓄放出により成果は出ていない。自主減産で高値誘導を試みるサウジは、財政に深刻な打撃を受けている。

指標となるWTI原油先物価格は、昨年9月に年初来高値の1バレル=92ドルをつけた後、現在は72ドル台で推移中だ。OPEC加盟国と非加盟国で構成する「OPECプラス」は、独占的な取り組みで原油価格の調整を図れるだけの生産量を誇るが、サウジは加盟国に対する主導力を発揮できていない。

forbes.com 原文

翻訳・編集=荻原藤緒

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