ビジネス

2024.01.25

発表! CIO AWARD 2023-24

Forbes JAPAN 2024年3月号では「CIO AWARD 2023-24」を特集。DXの旗のもとに変革を主導するテクノロジーリーダー5名を発表する。以下、本誌84ページよりの転載でその概要をお送りする。


CIOという立場は、その役割からCEOに並ぶ価値であるべきだ。データの価値を再定義し、昨今のセキュリティやAIなど変化するテクノロジートレンドにも対応する。

CIOは、企業の意思決定とリンクする戦略の中核に立っている。企業によってはその役割をCDOなど別のCスイートが担う場合もある。その呼称にかかわらず、DXの旗のもと変革を主導するリーダーが、企業の行く末を握るのだ。そしてここに、肩書を超越し、企業を躍進させるテクノロジーリーダーが集結した。会社を躍進させるテクノロジーリーダーを今回発表する。

3回目を迎えた本アワードは、「日本のテクノロジーリーダーに光をあてる」ため、自らの役割を再構築し企業を成長させる卓越したリーダーを探した。広い知見を有し、さまざまな業界と接点をもつアドバイザリー・ボード5人の力を借り、Forbes JAPANの推薦を合わせ考察。受賞者を決定し、表彰する。


審査方針

CIO、 CDO、 CTO、またはDX領域のリーダとして、先進的で、具体的な取り組みや成果を上げていることに重点を置く。以下の5点に注目した。

・自社のDX推進に中心的な役割を果たし成果を得ている
・AIなど新しいテクノロジーの活用やサステナビリティにも貢献している
・部門領域にしばられない柔軟な発想と役割を持っている
・数年先のビジョンを持ちあるべき姿を示せている
・結果を出しているか

上記の要素を勘案し、以下の贈賞を設定。

・グランプリ
・AI・サステナブル賞
・DX推進賞
・ITシステム賞
・ITイノベーション賞

ADVISORY BOARD

片山幹雄|東京大学生産技術研究所研究顧問 Kconcept 代表取締役社長

製薬業界に注目していた。コロナ禍での業界の成果は、すなわちDXによるものと言えるだろう。今回の中外製薬、味の素のような企業が成果を出すことを評価したい。驚きだったのは日本郵船。少ない人数で大きな船を動かすのにDXなしではできない。通信についての取り組みもあり幅が広く奥が深い。世界で通用する点でも群を抜いて注目できる事例だと思う。審査全体として、単なる情シスからの脱却ができているかが重要な鍵となった。

プロフィール◎1981年、東京大学工学部金属工学科卒業後、シャープ入社。2007年に同社最年少の49歳で代表取締役社長に就任。14年に日本電産副会長・最高技術責任者(CTO)に就任。22年に退社し現職。

入山章栄|早稲田大学大学院 早稲田大学ビジネススクール教授

デジタルをうまく使うことで、会社全体をきちんと変えられる人、それがCIOやCDOに不可欠の条件だ。社長と同じ目線で会社全体を変革でき、時には社長とけんかしても実行するという気概と行動力も必要だ。そういう人は兼業でも仕事ができる。今回は受賞していないが、フリーの立場でコープさっぽろなど複数の企業のCIOとして実績を上げる長谷川秀樹氏などはその代表的な例だろう。未来型のテクノロジーリーダーの登場に今後も期待したい。

プロフィール◎三菱総合研究所を経て、2008年に米ピッツバーグ大学経営大学院より博士号(Ph.D.)を取得。同年、米ニューヨーク州立大学バッファロー校ビジネススクール助教授に就任。2013年から現職。専門は経営学。

森本登志男|旭川市 CDO、元佐賀県庁CIO キャリアシフト代表取締役

今、急速に進んでいる自治体関連のDXに身を置いている者としては、いかに結果を出すかという企業と同様の視点があります。会社も自治体もそれをどう料理していくかが重要だ。候補企業では中外製薬に注目したほか、受賞は逃したがクレディセゾンも評価。変革の谷(DX進行時に訪れる停滞)に気づかれて施策を打つ点に注目した。仮に道半ばでも一定の成果を出す企業は自治体とも類似。評価のポイントになった。

プロフィール◎京都大学卒業後、宇部興産、ジャストシステムを経てマイクロソフト入社。米国勤務後2008年総務省地域情報化アドバイザー就任。11年に佐賀県庁CIO就任。17年キャリアシフト設立。旭川市CDO。

松尾 豊|東京大学大学院 工学系研究科教授

選考候補にあったサイバーエージェントや、受賞された中外製薬など、AIの活用が進む企業は多く、これからも注目していきたい。また、日本郵船の取り組みも興味深い。企業がAIを導入する際に目にするのが、導入しようと思っても社内システムの構築やインフラの整備から建て直すケースは多い。これはCIOやCDOなどがいかに取り組むかによって個差が表れている現状があり、テクノロジーリーダーの役割はさらに重要になるだろう。

プロフィール◎専門は人工知能、深層学習など。スタンフォード大学客員研究員などを経て2019年より現職。日本ディープラーニング協会理事長、ソフトバンクグループ社外取締役。DX関連で企業とのかかわりも多い。

澤 円|圓窓代表取締役 元・日本マイクロソフト業務執行役員

テクノロジーリーダーに必要なのは、まずコミュニケーション能力だ。ただ知っているだけでなく、どう仕組みを生かすのか、コストセンターではなく「インベスト領域」であることを説かねば物事は進まない。外部人材の登用が増えている業界だが、生え抜き人材が泥水をすすりながら最終的にDXに到達することに価値を感じる。候補に挙げた日立建機などはそういった例のひとつ。古くて変化しにくいレガシーな業界の進化にも注目したい。

プロフィール◎1997年日本マイクロソフト入社。コンサルタント業務からプリセールスSE、ピープルマネジメントなどに携わり2020年に独立。自社以外にもテック企業の社外取締役や企業の顧問多数。

イラストレーション=イシュトヴァン・スジスキー

この記事は 「Forbes JAPAN 2024年3月号」に掲載されています。 定期購読はこちら >>

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