ライブサービスゲームが抱える巨大リスク 『スーサイド・スクワッド』に暗雲

こういったゲームには、終わりがある。例えば『Marvel’s Spider-Man 2』のプレイ時間は、途中でやり直さない限り、最大でもおそらく30時間だろう。『God of War』は40~50時間といったところだ。『エルデンリング』を100時間、『バルダーズ・ゲート3』を200時間プレイする人がいるとしても、それはやりたいから続けているのであって、何らかの「作業」が要求されているからではない。

シングルプレイゲームでは、決まったプレイ時間を、自分のペースで費やせる。一方のライブサービスゲーム、特にPvEコンテンツが大量に用意されるゲームでは、1年中プレイし、他のプレイヤーに後れを取らないことが必要となる。次々と投入される新コンテンツを逃すと、復帰が難しくなるからだ。プレイヤーが1年間でプレイできるゲームの本数は、シングルプレイゲームなら数十本だが、ライブサービスゲームではせいぜい1、2本だろう。その貴重な枠に入るゲームは、よほど優れたものでなければいけない。

これまでのライブサービスゲームが抱えていた問題は、そこそこの出来では不十分だということだった。プレイヤーの関心を保持するには、非常に多くの面で優れたゲームでなければならない。『Anthem』には、楽しい飛行システムや、おもしろいビルドと戦闘があった。『Marvel's Avengers』には、驚くほどすばらしいヒーローセットと良いオープニングキャンペーンがあった。だがいずれも、それだけでは不十分だった。アップデート予定の遅延、発売後の優れたコンテンツ不足、コア部分の不安定さが、最終的に両作の崩壊につながった。

ロックステディも、『スーサイド・スクワッド キル・ザ・ジャスティス・リーグ』発売後に大型の追加コンテンツを予定しているのだが(もちろん、巨大なAAAゲームをリリースした後、さらにAAAレベルのコンテンツを大量にリリースするのは簡単なことではない)、それ以前に、ゲームのコア部分に必要なものが2つある。1つ目は、プレイヤーを十分にのめり込ませるものであること。2つ目は、ゲームの根幹部分にある問題を発売後6~12カ月にわたって修正することを強いられ、追加コンテンツを遅延させるのではなく、約束していたコンテンツを予定どおりにリリースすることだ。こうした問題は『Avengers』と『Anthem』で起きた。同じことは『Destiny』でも起きたが、同シリーズは幸いにも、1作目と2作目のいずれも発売直後はライブサービスゲームではなかった上、2度の大型拡張パックによって挽回に成功した。

たとえすべての要素がそろっているように思えても、ライブサービスゲームをプレイヤーに売り込むと同時に、開発側でゲームをしっかり運営することは、特にPvEコンテンツに関して言えば、おそらく今のゲーム業界で最も難しいことの1つだろう。ロックステディの幸運を祈りたいが、前途は多難だ。

forbes.com 原文

翻訳・編集=遠藤宗生

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