ローリングとワーナー・ブラザースは、映画『ファンタスティック・ビースト』シリーズで、原作に脈打つ「魔法」を復活させようと試みたものの、大失敗に終わった。原作のタイトルどおり「幻の動物とその生息地」をめぐる物語にすべきだったものを、その代わりに邪悪な魔法使いとの対決という既視感のあるストーリーが展開された。
ローリングがさまざまな論争を引き起こしてきたにもかかわらず、新作ゲームの『ホグワーツ・レガシー』が大ヒットしたのは、ここ10年間のハリポタ関連作品に「魔法」が欠けていたからかもしれない。ローリングは同作の開発に直接関与していないものの、多くの人々がローリングのトランスジェンダー嫌悪的な発言を理由に、同作のボイコットを呼びかけた。
一方で、筆者を含む一部の人々は、このゲームをボイコットしても、すでに大金持ちであるローリングに何らかの影響を与えることはできないのであり、それよりもこのゲームに情熱を注いできた開発者を支援することの方が重要だと主張していた。だがそうした懸念も結局は、要らぬ心配に終わった。
米誌バラエティがワーナー・ブラザース幹部の話として伝えたところによると、『ホグワーツ・レガシー』は2023年2月10日の発売からわずか1年足らずで2200万本以上を売り上げた。私は今となっては、ボイコット運動が少なくともアンチ・ローリング派にとっては間違いだったと思っている。ボイコットの呼び掛けが、同作に対する注目度と宣伝効果を高め、販売本数の増加につながったことは、ほぼ間違いない。
ゲームそのものは、まあまあの出来だった。個人的には、生徒になりきって授業に出たり、自分の部屋に行ったり、時間を管理したり、冒険に出たりする「ホグワーツ・シミュレーター」のような内容を期待していた。あるいは、『ペルソナ』のようなゲームだったら、もっとおもしろかったと思う。
それでも、ハリー・ポッターにまだ2200万本を売り上げるような力が残っていることをうれしく思う。クィディッチを題材としたゲームも開発中だが、ゲームとしての出来にはあまり期待していない。クィディッチは純粋に、スポーツとしていまいちで、筋が通らないものだ。ちょっと考えれば、ボールとバット、ほうきを使ったスポーツで、もっと良いものを思いつけそうだ。
(forbes.com 原文)