ただ昨今、コロナ禍が落ち着く中で需要喚起を促そうと、航空会社が割引キャンペーンを実施している。筆者もJALのスマイルキャンペーンを目にして、「これはチャンスだ!」と、訪れたことがない地域への渡航を検討した。
選んだのは、沖縄県の最東端にある大東諸島。以前友人が勧めてくれたのをふと思い出し、行くことを決めた。都心から直行便はなく、那覇で乗り換えるためコストも掛かるが、割引に背中を押されて北大東島と南大東島に1泊ずつすることにした。
100年前までは無人島だった
大東諸島は、沖縄本島から東へ約360kmの場所にある。北大東島、南大東島およびいくつかの無人島からなる。あまり知られていないが、約100年前までは全島が無人島だった。明治時代以降、八丈島の人たちにより開拓が進み、企業が所有する社有島があったり、「大東島紙幣」と呼ばれる独自の通貨が流通したりするほど、独自の文化が発展した。そのため、沖縄県内にあるのに琉球文化に染まっていない稀有な島々である。
現在は、さとうきび栽培に特化した農業と製糖を中心に栄え、人口は北大東島が600人、南大東島は1200人程度。飛行機は毎日就航しているが、フェリーの定期便は週1日の運行。沖縄本島から約15時間かかる。
断崖絶壁で接岸できないため、フェリーから下船するときはクレーンに吊られたゴンドラで運ばれる。珍しい光景だ
唯一のガイドによる地底湖探検ツアー
南大東島は、珊瑚礁が隆起してできた島なので、石灰岩でできている。そのため、島の地下はスポンジのようにスカスカで多くの穴が空き、鍾乳洞が点在している。その数は100以上。各家庭に鍾乳洞があると言われるほどである。南大東島で人気の観光地に「星野洞」という鍾乳洞があるが、ここは “星野さん”の家の土地にあった鍾乳洞を約20年前に保存し、観光地化した場所である。
湿度を100%に保ち、できる限りそのまま保存しているため、まだまだ鍾乳洞は進化しているとのことだ。手つかずの状態で残っているため、この鍾乳洞を観るためだけでも訪れる価値はある。ちなみに、さとうきび畑をつくるために鍾乳洞を埋めて地盤を整えてしまうケースも多いという。