2023.12.30 10:30

沖縄の秘島・南大東島で体験。知られざる地底湖探検ツアー

筆者は今回、この島で地底湖探検ツアーに参加した。観光地化がまだまだ進んでいないため、島内にはガイドも少ない。地底湖の唯一のガイド、オフィスキーポイントの東和明さんに秋葉地底湖を案内いただいた。

地底湖とは、洞窟内に地下水や雨水などが貯まって形成される湖だ。東さんによると、秋葉地底湖は海とつながっていて潮の満ち引きで湖面が上下するとのことだが、いまだに調査でも“つながっている場所”は発見できていない。

秋葉地底湖は私有地なので、許可を申請して入洞する。なお、安全面の観点からも許可なく無断で洞窟には入ることができないため、ガイドツアーの申込みは必須だ。



ツアーでは、事前に事務所でツナギと長靴に着替える。装備は、ヘルメットとヘッドライトと手持ちの懐中電灯だ。最初に連れて行かれたのは、サトウキビ畑の真ん中にぽっかりと空いたドリーネと呼ばれる陥没穴。ここから中に入ることができる。

洞窟を探検するように進んでいくと、序盤は太陽光が入っていたが、徐々に暗くなり湿度もあがっていった。洞窟なので、ライトアップも足場の舗装もない。


生きた鍾乳石は白く透き通り、水がポタポタと垂れる。この一滴一滴が地底湖をつくる

様々な種類の鍾乳石に囲まれた細い洞窟道を地下に15m、40分ほど下ると、地底湖が現れる。地底の中に静かにたたずむこの湖は、鍾乳石から落ちる水滴で、いたるところに波紋が広がっている。そして想像していた以上に広い。
 

入口のドリーネから40分。地下に歩くと巨大な地底湖が広がる

すべてのライトを消してみると、光が全く入らないため目が慣れても周囲が見えるようなことはない。ずっと真っ暗なままだ。また、鍾乳石からポタポタたれる水は、不純物が無く光を透過するため、ライトを当てても水と感じさせないくらい澄んでいる。

文章でこの地底湖の魅力を表現しきるのは難しいが、自然がつくった神秘的な地底湖は、間違いなく他では決してできない体験だった。筆者は日本全国で様々な体験・アクティビティをしてきたが、その中でもトップクラスであることは間違いない。


通常の鍾乳洞では近づけないほどの距離で鍾乳石を見ることができる

アクセスが決して良いとは言えず、ホテルも少ない大東島諸島。ただ、海やあたり一面のさとうきび畑といった絶景、ナイトツアーや釣り、カヤックなどのアクティビティも楽しめる。フクロウやオオコウモリなど、ここでしか見ることができない希少な動物も多く生息する。

航空会社の割引キャンペーンがある今だからこそ、このようなニッチな場所がもっと注目されてほしい。都心から直行便が出ていないような地域まで、もう一歩足を伸ばしてみることをおすすめしたい。

そこできっと新しい発見や感動を得ることができ、日本の魅力を再発見することになるだろう。

連載:「遊び」で変わる地域とくらし
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文=内田有映 協力・写真提供=東和明(オフィスキーポイント)

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