スタートアップ

2023.12.08 08:15

ジャーナリストが優秀なベンチャーキャピタリストになれる理由

私自身もこうしたキャリア転換の成功をCoral Capitalで見てきました。

弊社パートナーのKenは、以前はTechCrunchやITmediaの有名ジャーナリストとして活躍していましたが、Coralに転職し、今では投資チームの貴重な一員です。

彼の卓越した文章力は、最近公開されたJapan 4.0のエッセイなどからすでにご存じの方も多いと思います。

しかし実は、現在Kenがコンテンツ制作に割いている時間は全体の10%程度にしか過ぎないのです。最近は主に有望な起業家とのミーティングや投資業務に注力する方向に役割をシフトしていて、彼の多才さが発揮されています。

Kenが歩んできた道のりは、単に職種が変わったというだけのものでなく、ジャーナリズムで培われるスキルの汎用性の高さを表しています。新しい分野を素早く把握し、リサーチする能力は業界を超えて重宝されます。

たとえばCoralでは、ある週はダイヤモンド半導体の複雑さを掘り下げたと思ったら、次の週には次世代電池技術の最新事情というまったく違う分野について議論していることがあります。

しかしいずれの場合も、Kenは文献や資料を調べまくり、起業家たちと詳細かつ深いディスカッションを行えるレベルにまで多くの場合は驚くほど短期間で仕上げてくることができるのです。あまりにも多方面に博識であるため、社内では彼のことを「ケンペディア」と呼んでいるくらいです。

上記に加え、ジャーナリストとしてのキャリアで磨かれたインタビュースキルにおいても、Kenは今ではCoralに欠かせない重要な存在となっています。起業家や、その社員や顧客と打ち解けた関係を築き、オープンな対話や率直な意見を引き出せるというのは非常に貴重な才能です。

また、それらの対話からエッセンスを抽出し、洞察にあふれる綿密なメモを作成するスキルも素晴らしく高く、いつも助けられています。そのメモを読むと、まるで自分が実際にミーティングに参加したかのように錯覚するほどです。

もちろん、Kenは(今のところはまだ)マイケル・モリッツではありません。しかし、モリッツとKenのストーリーは、「ベンチャーキャピタリストとして成功する鍵となるスキルは、思いがけないところで培われることが多い」というベンチャーキャピタルに携わる全ての人にとって重要な洞察を浮き彫りにしています。

分析的思考や人脈づくり、ストーリーテリング、効果的なコミュニケーション力、適応力の速さは、ジャーナリズムにおいてもベンチャーキャピタルにおいても不可欠なスキルなのです。

連載:VCのインサイト
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文=James Riney

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