デジタル資産に関するトピックも注目度が高く、初の仮想通貨銀行の称号を獲得したSEBAやSygnum、スイス最古の州銀行であり仮想通貨取引のも乗り出したZuger Kantonalbankなども参加した。また、仮想通貨取引所大手のKrakenやデジタル資産プラットフォームのユニコーン企業Fireblocksらのセッションでは、デジタル資産への移行の加速についての洞察が述べられたほか、Bitcoin SuisseやDiva Stakingらは各セッション内でグローバルシーンにおけるステーキングの影響や進化し続けるDeFi環境に関する調査について共有した。
他にも、トークン化された株式、ダイヤモンド、その他の現実世界の資産(RWA)の領域にも議論は及び、AktionariatのNicola Plain氏やLCX、Dynasty GlobalのEduardo Carvalho氏などが登壇。トークン化によって起こり得る株式市場の変化や不動産市場の民主化について議論し、そのアクセスのし易さや流動性が増すと述べた。また、Animoca BrandsのCEOであるRobby Yung氏は株主資本主義からステークホルダー資本主義に移行しつつあると主張し、深く共感を集めた。
イーサリアムで公開されたトークン規格ERC-20の作成者Fabian Vogelsteller氏はブロックチェーンとのより良い相互作用を可能にするERC725を発表した。
最も盛り上がったのはCV VCのDavid Lon氏とHigh Tech Gründerfonds GmbHのマネージング ディレクターであるAlex von Frankenberg氏らのセッション「Investor Power Hour」で、経験豊富な投資家の戦略的な洞察や視点は、参加者に数々の貴重な教訓を提供していた。
〈2日目〉
クリプトバレーがブロックチェーン研究の世界的な震源地となるという主張に基づき、ツーク州のHeinz Tannler氏やルツェルン大学のAlexander H. Trechsel氏といった連邦政府や大学の先見の明を持つ人々が、この分野での取り組みの拡大や画期的な研究についての議論を主導した。Tannler氏は、約4000万スイスフランをかけた研究プロジェクト「Blockchain Zug - Joint Research Initiative」を紹介し、その目的をクリプトバレーを前進させ、世界の主要なブロックチェーンハブおよびブロックチェーン研究の中心地としての地位を固めることとした。シリコンバレーにおけるスタンフォード大学のように、クリプトバレーのHSLU大学とルツェルン大学が、世界有数のブロックチェーン研究所としての役割を発揮することを期待し連携していくという。
他にも、Edelcoin、Visa、Circle、Coinbaseらによるステーブルコインが金融情勢の再構築において果たす役割に関するトピックや、Web3、ゲーム、クリエイティブ・エコノミーの領域に踏み込んだDacoco GmbH(AlienWorlds)とChilizらによるブロックチェーンとデジタル・クリエイティビティの交差点に関するトピック、Dfinity、Solana FoundationおよびThe Hashgraph Associationらによるブロックチェーン・プロトコルの未来に関するトピック、ツーク市による人工知能とWeb3バンキンを含む金融との融合に関するトピックなど、幅広いテーマが取り扱われた。
CV VC AfricaのMDであるGideon Greaves氏とWeb3 SanctuaryのDevon Krantz氏らによるアフリカやインドを中心とした新興市場の躍進とブロックチェーンの関わりに関するトピックでは、Greaves氏が銀行へのアクセスや識別などの問題に対処し、金融包摂を促進する上でのブロックチェーンの役割を強調。PowerledgerのJemma Green博士は、再生可能エネルギー取引と電力追跡における革新的なユースケースを紹介し、低所得国のエネルギー民主化と経済発展の見通しを示した。
この日は、Google、Hedera、Polygon、Safeなどの大手企業も登壇。業界を前進させる進歩に光を当てた「Tech Trailblazers Power Hour」で盛り上がりは最高潮に達した。
〈2日間を通して〉
CV Summitは画期的な議論、革新的な啓示、戦略的コラボレーションを多くの人々に提供した。さらに、Polygon Labsによるより良く公平な組織化方法が示されたドキュメンタリー「SCALE: Zero-Knowledge and the Quest for the New Internet」のプレミア公開やスタートアップ・ビレッジでの20 以上のブロックチェーン・チームによるデモンストレーション、ネットワーキングエリアでの国際的な交流の機会も提供された。ツーク州のAndre Wicki市長も舞台を越えてネットワーキングに参加。「未来を創造する最良の方法は、それを発明することだ」と述べ、優秀な人材を歓迎し、スタートアップを奨励するという連邦政府の姿勢を確かにした。