また、みかん30個を手絞りした高級ジュース「みかんしぼり」が人気を誇る伊藤農園(和歌山県)も、注目を集めた。同社は自社農園などでとれたみかんを使用し、商品を開発・販売。看板商品である無添加の100%ストレートのみかんジュースが振舞われると、「甘い」「おいしい」という言葉とともに、審査員が一気に飲み干すシーンも見られた。
同社はかつて、全国的な過剰生産によってみかんの価格が大暴落したことを機に、みかん問屋からジュースメーカーに事業転換。現在はリブランディングに成功し、世界32カ国へ商品を輸出している。
代表取締役社長を務める伊藤彰浩は、目指すビジョンについて、「ショップやレストラン、農業体験、宿泊施設を併設した里山の豊かさを体感できる伊藤農園ビレッジを作りたい」と語り、自社のみならず地域を元気にする新たなプロジェクトもアピールし、ローカルヒーロー賞を受賞した。
使用済みの食用油からバイオディーゼル燃料を製造するレボインターナショナル(京都府)は、経営危機を乗り越えて業績を伸ばしている企業。現在25期目で過去18期は赤字だったという同社だが、1日3万リットルのバイオディーゼル燃料を製造し、9割をヨーロッパに輸出している。
川や湖を汚染から守りたいと立ち上げた非営利団体が原点で、地元自治体と協力して使用済みの食用油のリサイクルを啓もうし続けてきた。
プレゼンに登壇した代表取締役の越川哲也は、レーシングドライバーを目指し、レーシングチームにも長年携わっていた異色の経営者。自社燃料の品質をモータースポーツ競技で実証するなど、取り組みも異彩を放った。「もう潰れる、なぜ持っているのか、と言われ続けた。世の中からようやく認めてもらった」と語り、今回のアワードではパイオニア賞を受賞した。
ファイナリスト7社が受賞した特別賞は、以下のとおり(順不同)。
アムコン:グランプリ
伊藤農園:ローカルヒーロー賞
コーカス:ベストタレントイノベーション賞
東北電子産業:カッティングエッジ賞
村松フルート製作所:グローバルブランド賞
コーワ:エボリューション賞
レボインターナショナル:パイオニア賞
グランプリの選考について、編集長の藤吉は「大手企業とは全く異なるほど、技術が画期的。日本の技術で、世界の現場を支えているところが素晴らしかった」と、アムコンに言及。山井も「モノづくりの人間である私からしても、挑戦と創造という会社のミッションにふさわしい業容と言える。グローバルで活躍してもらいたいという思いも込めて選出した」と称えた。
グランプリを受賞したアムコンの相澤は、「選んでくださったみなさん、いつも一緒に働いてくれているみんな、本当にありがとうございます」と涙ぐみながら感謝。
「今年10月の社長就任まで海外営業を務め、国際競争に勝ち抜く大変さを肌身に感じてきた。日本を代表するような気持ちで仕事に向き合うということに共感し、みんなが同じ方向を向いて協力してきたのが、今回認められて嬉しい。期待に応えるような会社になれたら」と、思いを明かした。
売り上げ、利益、従業員数という「規模のモノサシ」では測れない、「小さな巨人」たち。規模の大小をものともせずに、独自の方法で可能性を切り拓いている彼らには、飛躍のためのアイデアやヒントが詰め込まれていた。
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