ビジネス

2023.11.21 10:30

営業は「アート」、しかし営業マネジメントは「科学」である

営業マネジメントは「勝ちパターン―勝つ本当の要因」を見つけ、再現させる「科学」である

Aさんは、とある化学メーカーで営業部長に就任しました。そこでは、「わずかな営業員が売上げの大部分を稼ぎ、全く稼いでない営業員が多いので何とかしてほしい」と社長に言われていました。早速Aさんは、40人の営業員の年間売り上げの「バラつき」を分析しました。ちなみに生物学でも物理学でも、科学分野ではまず「バラつき分析」をするのは鉄則の一つです。
本記事に向けてMcKinseyにてケース作成

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早速40人の売上を並べると、かなりバラついている…。最上位の10名と最下位の10名では、平均売上げが25倍も違う。最上位の10名だけで、事業部全売上の65%も稼いでいたのです! 確かに社長の言うように「一部が大部分を稼いで」います。

Aさん「何故、こんなにも差が生じるのか…?」

どのように売れる営業パーソンの真の「勝ちパターン」を見つけ、展開するか

この事業部では、客先の工場や事業所に営業が電話営業や直接訪問して商材を売りに行きます。事業部では「一日4訪問」運動も展開しお客様への接触数を重視しています。そこで、Aさんは訪問数に着目し、

年間売上= 年間訪問数x1訪問あたりの獲得案件数x獲得案件あたり売上

と分解して考え、営業員のデータを集めて分析をしました。すると意外な結果が出ました。
本記事に向けてMcKinseyにてケース作成

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まず、差の一番の理由は訪問回数ではなく、「1案件あたりの売上規模」でした。しかも最下位グループだけ極端に小さい。

Aさん「最上位グループは一案件の売上規模が25万円もあるのか。対して最下位は6万円。売れる営業は一体何を売ってこんなに稼げているのだろう…。」

勝率、つまり「訪問あたりの獲得案件数」にも大きな差があります。最上位は平均3回訪問で1案件売れているのに対し、最下位は10回訪問でやっと1案件なのです。

差の小さな訪問回数も、最上位と最下位では1.8倍の差があります。最上位グループは1日4.5回ですが、最下位グループは1日2.5回だけ。

Aさん「目標の4訪問も全然やってない……。サボっているのか?」
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文=倉本由香利

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