近年は、店舗での利用に特化したボディカメラが登場しつつある。アクシスコミュニケーションズは先日、小売店での使用を想定した小型軽量版のボディカメラを発売した。この製品は、警官や警備員が装着するような目立つ外観をしていない。一方、スタンガンの発売元のアクソンも、同様のモデルを開発中という。
さらに、ロンドンを拠点とするReveal Media(リヴィール・メディア)は、撮影される側の人々が、それに気づくようにするための小型のスクリーンを備えた小型のボディカメラを販売している。
多くの小売業者は、まず警備員にボディカメラを試用させ、その後、時間をかけて、従業員や店長の順にその装備を拡大する。アイオワ州デスモインに本社を置くスーパーマーケットHy-Vee(ハイ・ヴィー)は、店舗に常駐する警備員にアクソン社のスタンガンとボディカメラの両方を装備させている。
コンビニでも導入が加速
しかし、モトローラ・ソリューションズのCTOのマヘシュ・サプタリシによれば、食料品店やコンビニエンスストアなどの小売業者の多くは、警備員を常駐させておらず、一般の店舗の従業員らにボディカメラを装着させているという。同社の2022年の売上高の91億ドルの約75%が、ボディカメラを含む「公共安全」のプロダクトからのものだった。一方で、一部の専門家の間からは「万引きや窃盗が本当に小売業界の苦境の原因なのか」と疑う声が上がっている。
一部のメディアの調査や、投資銀行による最近の報告書は「小売業者が在庫管理の不手際など、他の問題から注意をそらすために盗難の問題の深刻さを誇張している」と指摘している。また、万引きに対する罰則を一部の州で緩和した法案を批判し、特定の選挙で選ばれた議員の下で無法地帯が拡大したという考えを広めるために「強盗を撮影したバイラル動画が政治利用されている」との指摘もある。
投資銀行ウィリアム・ブレアのディラン・カーデンらが率いる小売業界のアナリストは、10月25日のレポートで「窃盗は増加傾向にあるが、小売業者がこの問題を誇張し、利幅の縮小やパンデミック後の在庫管理のミスを隠すために利用している兆候がある」と述べている。
「我々は、ここ最近大きく報じられている小売業界の店舗の閉鎖が、これらの店の業績の不振に起因するものだったと考えている」と、彼らはレポートで指摘した。
(forbes.com 原文)