そのため、給与はもちろん大事だが、妥協できるポイントでもあるというスタンスだ。ただ、足元も見られたくないし、生活に影響を与えたくないという本音も見え隠れする。そして、実際に給与を下げて転職する人はたくさんいる。
一方で、複数回転職しても、毎回必ず給与が上がっていく人もいる。そういう人の共通点として、給与の交渉術などテクニカルなことよりも、キャリアをポジティブに作っていくためのスタンスが挙げられる。
もちろん誰しもが不安や不満があるだろうか、それを直接ドライバーにして転職活動をするより、不安を糧にし、前向きに行動するかのほうが給与にはプラスに影響する。そのための5つのヒントを紹介しよう。
1. 選択肢を持ちながら、目の前の仕事で成果を出す
キャリアに不安になるのは、自分の将来を想像できないからだ。とはいえ、将来を明確に想像できている人のほうが少ないし、できている必要もない。大事なのは、選択肢の可能性を広く妄想しておくことだ。例えば、1. 今のままで頑張って管理職になっていく、2. 違う部署に応募して新しい経験をする、3. 転職して新しい環境で学びつつキャリアを築く、などのイメージだ。もう少し広げて、4. やったことはないが興味あることに挑戦する、というのを入れてもいいかもしれない。妄想なので、どこまでも自由なのだ。
私の場合、シンガポールから日本に帰ってくる際の転職では、1〜2年前から次のように考えていた。1. あと数年コミットしてシンガポールの事業をもっと伸ばす、2. アジア全体に影響があるポジションを目指す、3. 転職して新しいことをやる、4. 学生時代に目指していた教員になる。そして、この一つ一つの可能性に少しずつ小さな種をまいていった。
2. キャリアにつながる情報が入ってくる仕組みをつくる
妄想を現実につなげるためには、実現度をあげるための情報が必要だ。ただし、転職など一つのゴールに向かっての情報収集だと一過性のものになってしまう。大事なのは、領域を狭めすぎず、全体の流れ掴むための情報を得ることだ。私の場合は、リンクトイン等のSNSでなるべく公開情報を濃くしておく、複数のエージェントによいものがあったら連絡してほしいと相談する、Googleアラートや求人サイトで気になるキーワード登録をして情報が勝手にメールボックスに入る状況をつくるなどしていた。