AI

2023.11.03 12:00

バイデンの「AI大統領令」がスタートアップの壁となる可能性

安井克至

WASHINGTON, DC October 30, 2023 (Photo by Demetrius Freeman/The Washington Post via Getty Images)

バイデン大統領が署名したAIの安全性に関する大統領令に対して、一部のスタートアップのCEOらは、この大統領令で小規模なスタートアップの成長が阻害され、イノベーションが停滞することを懸念している。

大統領令は、AIの開発と使用に関するガードレールを設定するもので、今後はOpenAIの最新モデルであるGPT-5や、グーグルのGemini(ジェミナイ)を含む大規模言語モデル(LLM)などが、一般公開に先立ち、政府による安全性評価を受けることを義務づけている。

しかし、急成長中のテックスタートアップの一部は、今回の大統領令に不安を覚えている。「政府がスタートアップにとってオープンなAIエコシステムを構築することは非常に重要だ。クラウドベンダーが多額の投資をした後にAIを独占すると、イノベーションが阻害され、小規模なスタートアップがAIの進化に貢献できなくなる」と企業のAIツール構築を支援するDataikuの共同創業者のフロリアン・ドゥエトー(Florian Douetteau)は話す。

AI企業Cohere(コヒア)の共同創業者のエイダン・ゴメスは「政府が既存の大手AI企業の力を固定化するような規制を設けないよう、我々は注視する必要がある」と話す。

ゴメスは、チャック・シューマー上院議員のAIインサイトフォーラムのセッションに参加したほか、ホワイトハウスに対して自発的なAI管理のコミットメントをしたテック企業幹部15名の1人でもある。彼は、大統領令が既存の大手に利益をもたらすか、あるいは小規模なスタートアップに利益をもたらすかは、その実施と執行に大きく依存すると考えている。
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編集=上田裕資

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