だからその時代に着目してみた。
今、高度成長期に建てられたビル群が築50年を越え、東京中で再開発の波が押し寄せ、銀座もここ数年はどこかしらでビルの建て替えを行っている。ただ多くの再開発が、周辺の土地を1つにまとめ、低層にはショッピングや飲食街、高層にはオフィスや居住区域という1つの巨大な街を作るというパターンが目立つのに対し、銀座ではそういうデベロッパーによる大規模再開発はなく、オフィスフロアはできるにしろどれもほぼ商業施設だ。
巨大デベロッパーが入ってきてない分、大正時代の建物や戦前のビルと21世紀に建てられたモダンなビル同じ通りに並び、一見最新にファッションブランドが入っているビルでも外装がモダンなだけで建物自体は古いものだったり、1つ1つの区画が小さいおかげで新しいブランドが裏通りに路面店を構えたりするなど、銀座は外から受ける印象以上におもしろい街だなと思うのである。長く生きていると変わらないところに目が行きがちだけど、変わらないところ(明治からの老舗や百貨店など)と時代に合わせて変わっていくところの混在が一番の魅力な気がする。
・主な参考文献
「東京の都市づくりのあゆみ」(東京都)
「銀座通連合会100年 次の、100年へ。次の、憧れへ」(一般社団法人 銀座通連合会)
「中央区の歴史」(名著出版)
「中央区沿革図集[京橋編]」(東京都中央区教育委員会)