インターネット検索分析ツールMyTelescopeのデータによると、年間12万人がグーグルで「スウェーデンとスイスは同じ?」と検索しており、そのうち約8万5000件は米国からのアクセスだという。
Visit Swedenの軽妙で楽しいキャンペーン動画は、スウェーデン政府がスイスに両国の違いをより明確にする必要があると提案する記者会見風の構成。冒頭では、某国大統領が首脳会議の演説でスウェーデンとスイスを混同する失態を犯したことを伝える新聞紙面がアップで映し出される。
これはジョー・バイデン米大統領が2022年、北大西洋条約機構(NATO)拡大について語った記者会見でスウェーデンをスイスと言い間違え、直後に訂正した一件にちなんでいるのかもしれない。
「記者会見」では続けて、スイスの優れている点とスウェーデンならではの持ち味とを、韻を踏むように対比しながら列挙していく。たとえば、スイス名物には銀行、高山の頂上、にぎやかなヨーデル、高級時計などがあり、対するスウェーデンの売りは風光明媚な砂浜、屋上テラスで楽しむパーティー、静寂の中で楽しむアウトドア体験、といった調子だ。
「LSDはスイスのもの。スイスで発明されたものですから。一方、スウェーデンではオーロラを見ることができます。どちらもシュールな体験ですね」というくだりも登場するが、幻覚剤LSD(リゼルグ酸ジエチルアミド)を最初に合成した研究所は実際、スイスにある。
Visit Swedenの動画「スウェーデン(スイスではない)」はこちら。
スイスとスウェーデンがどのように混同されがちなのかを把握するため、Visit Swedenでは両国に関する認識を調査した。すると、回答者の約半数が両国の文化の違いを知らなかった。
米国人の回答者では約10人に1人が、スウェーデンまたはスイスへ旅行しようとして、航空券やツアー、アクティビティの予約の際に国名を間違えたり、間違えそうになったことがあると認めた。
米国人だけではない。英国人も10人に1人以上がスウェーデンとスイスを同じ国だと勘違いしており、スウェーデンの家具大手IKEA(イケア)やポップグループのABBAを「スイスの好きなところ」だと思い込んでいた。
Visit Swedenのスサンネ・アンデション最高経営責任者(CEO)は、新観光キャンペーン立ち上げに伴う記者発表で、「両国の区別に苦労している人たちがいるのなら、私たちが手を差し伸べなければならない」と説明。「国名を変えることはできないが、区別しやすくすることはできる。スイスはラグジュアリー(高級品)の最高峰と称されることが多いけれど、スウェーデンにはまた一味違ったラグジュアリー(贅沢)がある。これらの違いを、その美しさ丸ごと、私たちは紹介したいのだ」と語った。
スウェーデンの誇る大自然の見どころとして、冬の空を緑色に染めて揺らめくオーロラと、一晩じゅう太陽が沈まない夏の白夜はよく知られている。つまり、北極圏のビョークリデンにあるゴルフコースでは、夏は真夜中でもゴルフが楽しめる。
寒中水泳が流行するずっと以前から、スウェーデン人は真冬の冷水浴を専用の浴場で満喫してきた。昔ながらの冷水浴場を備えたホテル「アークティック・バス」は、ルーレ川に浮かべたキャビンに宿泊でき、そこから極寒の川の水に直接入ることも可能だ。
こうしたアウトドア体験を楽しみたくてスウェーデンへ旅行するなら、チューリヒ空港ではなく、ストックホルム・アーランダ空港行きのフライトを探すのを忘れないように。
(forbes.com 原文)