健康

2023.10.26

風邪やインフルはなぜ冬に流行? 本格的に寒くなる前に再確認したいこと

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温帯地域では、インフルエンザなど特定の感染症が冬に流行のピークを迎える。そのことは、もう何世紀に前から知られている。だが、そうしたウイルス、つまりインフルエンザや風邪、新型コロナウイルスなどに季節性があるのは、なぜなのだろうか。寒い時期には、本当に感染しやすくなるのだろうか?

冬にこれらのウイルスに感染しやすくなる主な理由として挙げられる3つのこと、そして感染予防のために重要な3つのことを、改めて確認しておきたい。

流行の理由

1. 湿度の低下

冬になるとほぼ毎年、皮膚のひび割れや目の炎症、鼻腔や喉の乾燥などを経験するという人も多いだろう。これらは気温と湿度の低下が引き起こすものだ。そして、空気の乾燥は、インフルエンザや新型コロナウイルスなどのウイルスの感染も広がりやすくする。

感染した人の咳やくしゃみによって飛散したウイルスは、大抵1.2~1.8メートルの範囲内にあるモノの上や地面に落ちることから、呼吸器感染の予防には、ソーシャルディスタンス(人と人の距離)の確保が効果的だとされている。

湿度が低下すると、呼吸器飛沫はサイズが非常に小さくなり、空中でより長い距離を移動することができるようになる。そして、ウイルスに暴露する人を増やすことになる。

過去の研究では、加湿器を置いた教室などの室内では、加湿器がない室内と比べ、モノの表面に付着するウイルスの量も感染者の数も減少していたとの結果が示されている。

2. 体のバリア機能の低下

ウイルスなどが体内に侵入するのを防ぐ上、気道のバリア機能のなかには冬になると弱まるものがある。まず、温度と湿度が低下した状態では、通常は異物(ウイルスや細菌など)を気道の外に排出する働きをしている鼻腔の気道上皮細胞を覆う繊毛の機能が低下する。

次に、通常は粘性の流体が薄い層を作り、気道の内側を保護しているが、寒い時期には乾燥によってこの層が薄くなり、バリア機能が失われることになる。そのため、ウイルスの体内への侵入と感染の可能性が高まる。

3. 免疫力の低下

ウイルスに暴露したとき、防御の第一線として機能するのが免疫グロブリンA(IgA)だ。だが、過去の研究結果では、気温の低下によってIgAの分泌量が減少することが示されている。これは、感染の可能性が高まることを示唆している。

また、冬は気温が下がるだけでなく、日照時間も減少する。日光と紫外線の量が減少することは、ウイルスの活動にも複数の影響を与える。まず、高い温度と強い紫外線は、一部のウイルスは不活性化する。つまりウイルスという病原体は、寒く日照時間の短い時期には生存期間が長くなる。

次に、私たちの体内では日光を浴びることによってビタミンDが生成され、自然免疫応答が促される。これは、冬には浴びる日光の量が減ることによって、ビタミンDが不足する可能性が高まることを意味している。

本格的に寒くなる時期を前に、感染を予防するために取るべき対策について、改めて確認しておこう。

1. 室内の適切な湿度を保つこと、換気をよくすること

2. 毎日、日光を浴びるようにすること
3. 屋内の公共の場ではマスクを着用すること

インフルエンザと新型コロナウイルス、RSV(対象となる場合)のワクチン接種を受けることも、もう1つ方法だ。

forbes.com 原文

編集=木内涼子

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