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経営・戦略

2023.10.26 18:15

人的資本を成長力につなげる企業は? 「人を活かす」会社Top 20|人的資本ランキング

2023年10月25日発売の「Forbes JAPAN」12月号では、「新しい『いい会社』100」特集と題して、全上場企業対象、独自調査・分析で作成した、「ステークホルダー資本主義ランキング」「自然資本ランキング」「人的資本ランキング」「ガバナンスランキング」などを紹介。それぞれのランキング上位企業、計10社のCEOインタビューをはじめ、『ビジョナリー・カンパニー」シリーズ著者・ジム・コリンズへの独占インタビュー「これからの『偉大な企業』の条件、『偉大な人生』について」も掲載している。


社員は企業にとってコストではなく、中長期的な成長や価値をもたらす資本である──。「人的資本元年」といわれた2022年。23年3月期の有価証券報告書からはサステナビリティ関連情報の開示が義務付けられた。なかでも人材育成の方針や社内環境整備のための投資、実施計画など、人的資本に関する情報はすべての上場企業が開示しなければならない必須項目になっている。
 
背景には、日本企業の中長期的な成長を支えるのは人であり、人的資本関連の情報は投資判断を下すうえで有用だとの見方がある。東証プライム上場企業の統合報告書を見ると、従業員一人当たりの教育費用や従業員を対象に実施したサーベイ結果などの記載が増えた印象だ。今後は人的資本関連情報の開示方法や内容が投資家のみならず労働市場からの評価も左右するだろう。
 
では、現時点で人的資本力が相対的に高く、人への投資が企業の成長に寄与している企業はどこか。サステナブル・ラボの協力の下、東証プライム上場企業1836社の人的資本関連情報を収集・分析し「人的資本ランキング」を作成した。スコアの算出にあたっては「従業員エンゲージメント」「従業員一人当たり年間研修時間」「労働生産性」「PBR(株価純資産倍率)」「ROIC(投下資本利益率)」など計16指標を用いた。
 
ランキングの上位20社には、直近の連結決算売上高が10兆円を超える企業が3社、1兆円を超える企業が10社並んだ。規模が大きく名の知れた企業ほど人に投資する余力があり、人的資本への投資がさらなる企業価値の向上をもたらすとも読み取れる。企業規模や財務状況の差は人的資本にさらなる格差をもたらすのか。今後に注目だ。

ランキング算出方法

調査対象は東証プライム市場の1836社。2023年7月1日時点で取得したデータを基にサステナブル・ラボが解析。スコアの算出には「従業員エンゲージメント」「従業員一人当たり年間研修時間」「労働生産性」「PBR(株価純資産倍率)」「ROIC(投下資本利益率)」をはじめ計16指標を用いた。データソースには統合報告書やサステナビリティリポート、ESGデータブックなど各種開示資料および各種レーティングサイトの情報を用いた。業種ごとの相対評価で指標スコア(偏差値)を算出したのち、各指標に対してテーマや業種のマテリアリティを基に重み付けを行い、最終スコアを算出。ランキングは小数点第2位以下の数値が大きい企業を上位とした。

1 リクルートホールディングス :スコア 83.6

人材・販促サービス大手。2023年3月期の連結決算売上高は3兆4295億円(前年比19.4%増)。営業利益は3443億円(同9.1%減)、純利益は2697億円(同9.1%減)。

評価ポイント
DEI(多様性、公平性、包括性)を重視。管理職における女性比率が高く、従業員満足度や働きがいをはじめ人的資本に全面投資している点が高評価。上級管理職女性比率10%、管理職女性比率39%という現状にとどまることなく、2030年には組織全体の女性管理職比率50%を目指す。
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編集=瀬戸久美子 解析=サステナブル・ラボ イラストレーション=ダン・マトゥティナ

この記事は 「Forbes JAPAN 2023年12月号」に掲載されています。 定期購読はこちら >>

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