エネルギー自給率230%を実現。岐阜県の「奇跡の村」

岐阜県の「奇跡の村」とは?

岐阜県の「奇跡の村」とは?

日本には、エネルギー自給率230%を実現している奇跡の村がある。岐阜県の石徹白地区だ。

人口約220人の小さな村だが、小水力発電のユニークな取り組みが日本中から注目されている。余りあるエネルギーを生み出しているのは、わずか4台の水力発電機。豊かな自然を生かし、再生可能エネルギーをつくっている。

岐阜県の石徹白地区で利用されている小水力発電の技術が様々な地域に広がれば、もっと環境に優しい形でエネルギーを生み出せるかもしれない。

今回は、石徹白地区のサステナブルな小水力発電の取り組みを紹介する。

石徹白地区の小水力発電


石徹白地区は、標高700mにある自然豊かな場所である。白山連峰から流れる川を利用して小水力発電を行い、集落全体の電気使用量の倍以上の電力を発電している。

最も多く発電している発電機は「石徹白番場清流発電所」と呼ばれ、2016年6月に2億円以上をかけて建設された。この発電機だけで約130世帯分の電力を賄うことができる。

総工費の2億円は、集落のほぼ全戸が出資して作った農協の理事が保証人となって受けた6000万円の銀行融資と補助金で賄った。

発電した電気を販売することで毎年約2400万円を得ており、その一部の収益を銀行融資の返却に充てているという。その他の収益は、街頭や公民館の電気代、荒れた田畑の再生など、すべて地域のために使われている。

石徹白の水力発電を支えた夫婦

そんな奇跡の小水力発電の導入を進めたのは、12年前に岐阜市から移住した平野彰秀さん夫婦である。

平野さんはもともと岐阜県の岐阜市出身であり、石徹白地区に移住するまでは東京のコンサルティング会社に勤めていた。その頃から、平野さんはいつかは地元の地域づくりに関わりたいと考えていたそうだ。

2007年から岐阜のまちづくり団体のメンバーと一緒に田んぼや林業を手伝い、岐阜の発展に尽力している。

石徹白の人口減少と復活の兆し


石徹白地区はかつて1200人が住んでいたが、人口減少が進み今では約5分の1になってしまった。65歳以上が約50%となり、過疎化・少子高齢化が深刻な村を再生するために、平野さんは白山の豊かな水に目をつけた。

実は、石徹白地区は大正時代に水力発電を行っており、そこからヒントを得て、電力の自給自足を目指すことにしたのだ。
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文=エシカルな暮らし編集部

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