著名なNFTコレクションにも打撃
OpenSeaなどのマーケットプレイスにおけるロイヤリティ・ポリシーの変更は、著名NFTコレクション「Bored Ape Yacht Club(BAYC)」の発行元のYuga Labsに大きな打撃をもたらすことになる。暗号資産関連の調査会社Nansenのデータによると、BAYCのコレクションは2021年4月のデビューから、今年8月末までの間に約5900万ドルのロイヤリティ収入をYuga Labsにもたらしていた。アニメにインスパイアされた「Azuki」コレクションの発行元Chiru Labsは同期間に約4400万ドル、パステル調のイラストで知られるDoodlesは約2600万ドルのロイヤリティ収入を得たとされ、いずれも深刻な影響を受けそうだ。
それでも一部の大物クリエイターは、ブランドの認知度を活かし、伝統的なギャラリーなどとの取引を通じ、低迷する市場の中においても大金を得ているが、小規模なクリエイターは、より困難な状況に直面している。
時価総額約670万ドルのNFTコレクションを持つRektguyでも、ロイヤリティ廃止の影響は甚大だ。共同設立者のオヴィ・ファルクは「私たちはロイヤリティを、モデレーターへの支払いや、コミュニティの構築に充ててきた。これまでのビジネスモデルを変える必要がある」と述べた。
SECがNFTを規制する可能性
この市場はまた、米国の新たな規制にも直面している。米証券取引委員会(SEC)は8月、証券法に違反してNFTを登録せずに販売し、2021年以降に約3000万ドルを集めたとして、ロサンゼルスを拠点とするImpact Theory(インパクト・セオリー)を提訴。SECはまた、Stoner Catsコレクションのクリエイターに対しても、NFTを未登録有価証券として販売したとして罰金を科した。SECがトークンを有価証券とみなす基準にロイヤリティを含めるのであれば、NFTの発行元やコレクター、さらにはNFTのマーケットプレイスも、暗号資産関連の企業と同じ強制措置の対象となる可能性がある。
「過去の判例に基づけば、アーティストが川下でロイヤリティを受け取ることの正当性については、十分な論拠があります」と法律事務所Perkins and Coieのジェームス・ウォーカーは語る。「しかし、インパクト・セオリーのように創作に関与していない企業が、ロイヤリティを得ている場合、NFTが証券であるという主張がより強化されます」
(forbes.com 原文)