ヴィム・ホフはショーツとサンダルでエベレストを登頂したり、フィンランドの厚い氷の層の下を57.5m泳ぐなど、耐寒に関する20以上のギネス記録を保持している鉄人。彼のメソッドは医療研究者たちと科学的な実験を行い、免疫力の向上や体温をコントロールする褐色脂肪組織の活性化なども確認されている。
このヴィム・ホフ・メソッドは呼吸法がセットになっており、HPLのプログラムでも、アイスバスの前に呼吸法のトレーニングを行う。この呼吸法は、横になって、息を吸って、吐いて、止めてというものをガイダンスに従って60分間行うもの。日常とは異なる意識状態を味わうことができ、瞑想を長時間行なった時のような深いリラックス状態となる。
HPLはさらにいくつかのワークショップを参加メンバー同士で行う。皆で自分たちの内面と向き合い、互いにシェアすることで理解を深め、共に恐怖に立ち向かう。それにより強い連帯感が生まれ、氷風呂から出た際は、ブレイクスルーを讃え合い、皆でハイタッチしながら喜び合う。
「目の前の恐怖を乗り越えたという経験を共有すると、強い絆が生まれます。また幸せホルモンが分泌され、さまざまなものを手放したリラックス状態を共有できるので、ごく自然に打ち解け合うことができます。面識のないもの同士でもそのような状態になるので、仕事仲間であればその効果は絶大。それこそ企業研修に適しているのではないかと。地球規模で複雑な問題を多く抱えている現在、個人だけではなく皆で変容し、力を合わせていくことが必要です」(レンス)
昨今、ウェルビーイングに関するワークショップやプログラムが多数あるが、現状の幸せを増長させる軸のものがほとんど。アイス・ブレイクスルー研修のように、恐怖に焦点を当て、そこを乗り越えていくことで、ネクストレベルの至福を手にする試みはユニークで理にかなっている。また、瞑想やサウナは整うまである程度の時間を要するが、アイスバスはたったの3分。家でも気軽に取り組むことができるのも魅力的だ。