さらにこの研究によれば、太陽から65光年以下の距離にある系外惑星に、生命が存在する可能性があるという。この研究は、生命を探索している天文学者や宇宙生物学者の助けになるかもしれない。
この興味深い研究知見は、米カリフォルニア大学天文学・天体物理学部のピエロ・マドーが、査読前論文の公開サイトarXivに投稿した論文の草稿に掲載されている。太陽系外の生命生存可能な惑星や地球外生命を探索する、この最新の数理的枠組みでは、2018年に運用を終了した米航空宇宙局(NASA)のケプラー宇宙望遠鏡の観測データを含む最新のデータを用いている。ケプラー望遠鏡は、2009年~2018年の9年間で2662個の系外惑星を発見した。
ドレイクの方程式を超えて
今回の新しい枠組みは、天体物理学者フランク・ドレイクが1960年代に考案した「ドレイクの方程式」の最新版で、技術的に高度な文明から、生命存在可能な惑星で発生した単純な微生物までの地球外生命の探索に成功する要因をまとめたものだ。決定的なデータがほぼないため、多数の仮定、推定、推量が必要になるドレイクの式は主に、宇宙で地球外生命の探索をどのように始めればよいかを検討するためのツールとされる。さまざまな種類の系外惑星
マドーが提唱する枠組みは、系外惑星を探索する研究者らが、さまざまな種類の恒星の周りに、さまざまな種類の惑星がどのように形成されているかや、惑星の年齢と存在頻度などに関する統計的な理解を深められるように考案されている。その主な知見は、次の4点だ。・太陽から326光年以内には、スペクトル型がK型の(太陽に似た)恒星のハビタブルゾーン(生命居住可能領域)内に地球サイズの惑星が統計的に1万1000個存在する
・太陽系は、岩石質の系外惑星を持つ近傍の恒星系の77%よりも若い
・岩石質の系外惑星は、宇宙の初期には木星型の系外惑星より数が多かった
・統計的に、生命が存在する最も近くの地球型惑星は、65光年離れている