2020年10月に小惑星ベンヌから採取された岩石サンプル約250gが入ったカプセルは、24日午前10時52分(日本時間同午後11時52分)に着陸に成功。この7年に及んだ探査ミッションは、NASA史上初の小惑星サンプルリターン(試料回収)の試みだ。
回収されたサンプルは、米陸軍のダグウェイ実験場内の無菌室に搬入され、科学者6人からなるチームの手に渡る。チームは精巧な機器を使用し、太陽系と生命自体の起源に関する手掛かりを求め、サンプルを分析する。
米アリゾナ大学に所属するOSIRIS-RExミッション主任研究員のダンテ・ローレッタは、着陸後のサンプルリターン容器に最初に接触した人の1人だ。「本日は、OSIRIS-RExチームにとってだけでなく、科学全体にとっても極めて画期的な節目となる」とローレッタは述べている。「われわれはこのサンプルを分析し、太陽系の謎にさらに深く踏み込むための、かつてない機会を手に入れた」
TOUCHDOWN! The #OSIRISREx sample capsule landed at the Utah Test and Training Range at 10:52am ET (1452 UTC) after a 3.86-billion mile journey. This marks the US's first sample return mission of its kind and will open a time capsule to the beginnings of our solar system. pic.twitter.com/N8fun14Plt
— NASA (@NASA) September 24, 2023
隕石と小惑星の違い
小惑星は、惑星がまだ形成段階にあった最初期の太陽系の岩石でできており、今回のサンプルは原初の状態を非常によく保っている。太陽系で最古級の天体から採取した昔のままのサンプルを分析する予定の6人の科学者チームの1人で、豪カーティン大学地球惑星科学部准教授のニック・ティムズは「地球の大気や水、生物相などからすぐ汚染される可能性のある自然の隕石(いんせき)落下とは異なり、この岩石には汚染がない」と指摘する。「太陽系が塵(ちり)とガスにすぎなかった時代に起きたことや、それらを寄せ集めて惑星を形成し、地球上の生命の構成要素を生み出したプロセスについて、非常に多くを語ることができるようになるに違いない」と、ティムズは話している。