宇宙

2023.07.23 14:00

「1000京ドルの小惑星」目指すNASA探査機、打ち上げへ準備着々

小惑星プシケはニッケル・鉄からなる初期の惑星のコアとみられている(NASA/JPL-CALTECH/ASU)

小惑星プシケはニッケル・鉄からなる初期の惑星のコアとみられている(NASA/JPL-CALTECH/ASU)

小惑星プシケ(16 Psyche)の真実を明らかにするべく米航空宇宙局(NASA)が開発したソーラー駆動探査機が、打ち上げまで80日を切った。プシケを英語読みした「サイキ」と名付けられたこの探査機は、火星と木星の間、40億kmの彼方にある小惑星帯を目指す予定だ。

鉄とニッケルから成る独特の組成から、プシケには1000京ドル(約14垓円)の価値があると推定されている。しかし、それより重要なのは、地球の中心に似た鉄のコアを調べることで、太陽系の新しい金属の世界を発見する機会が得られることだろう。

NASAの最新情報 

NASAが18日に公表した最新情報によると、探査機の完成に向け、エンジニア、技術者からなる30人のチームが、ほぼ24時間体制で準備を進めている。

サイキはスペースXの打ち上げロケット「ファルコンヘビー」に載せられてケネディ宇宙センターの39A発射台から2023年10月5日午前10時38分(日本時間同日午後11時38分)に打ち上げられる予定だ。打ち上げウィンドウ(発射時限)は10月25日まで確保されている。

ファルコンヘビーはこれまで主に大型衛星の打ち上げに使用されてきており、惑星間空間への打ち上げでの使用は初めてとなる。

打ち上げへのカウントダウン

南カリフォルニアにあるNASAジェット推進研究所のサイキ・プロジェクト・マネージャー、ヘンリー・ストーンは「打ち上げまでの日数をチームと共にカウントダウンしています」と述べている。「チームは滞りなく準備を完了するために数多くの訓練を実施しています。今は非常に忙しい時ですが、全員が打ち上げを楽しみにしています」

科学機器、探査機のハードウェアとソフトウェアの試験が終わると、次はサイキの巨大ソーラーパネルの取り付けが行われる。8月中旬には、1058kgのキセノン推進剤が探査機に中に注入される。

目的地に到着した後、サイキは26カ月間にわたりプシケの周回軌道にとどまり、マッピングとプシケの特性調査を行う。
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翻訳=高橋信夫・編集=遠藤宗生

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