ベンヌの秘密を解き明かす
直径約500mのベンヌは、これよりずっと大型の小惑星が破壊された際に放出された大小さまざまな破片でできているラブルパイル(破砕集積)小惑星だ。科学者チームは今回のサンプルによって、ベンヌの過去の衝突に関する情報を探り出したり、化学組成を明らかにしたりすることができるはずだ。最初の分析結果は2024年の前半に発表される見通し。英ウォリック大学物理学部の博士研究員キム・ミンジェは電子メールで、ベンヌについて、「炭素に富む小惑星に分類され、40億年近く前の太陽系初期の時代までさかのぼる有機化合物を含んでいると考えられる」と説明した。「このような知見が得られるのは、ベンヌを含む少数の小惑星に限られるため、地球の生命の起源に関する手掛かりを得るために極めて重要な天体となっている」
今回のサンプルは少量ではあるが、この種のミッションで得られたものとしては過去最大量だ。
カーティン大宇宙科学技術センター所長で、同大のジョン・カーティン特別教授のフィル・ブランドは「この試料は、何十年にもわたって分析され、宇宙の起源に関する一連の新事実を明らかにしてくれる可能性がある」と述べている。「50年以上前にアポロ計画の宇宙飛行士が持ち帰ったサンプルから私たちが今もさまざまなことを学んでいるのと全く同じように、今後数十年にわたってベンヌの秘密を解き明かしていくことができるだろう」
NASAによると、1969年~1972年に実施された6回のアポロミッションで、地球に持ち帰られた月面の岩石、コア試料、小石、砂や塵は382kgに上る。
(forbes.com 原文)