欧州

2023.09.27 12:00

ロシア軍のダミー戦車、ウクライナに再び姿現す

戦車と対空ミサイルシステムを模したロシアの膨張式デコイ(Danila2332 / Shutterstock.com)

第45連隊は、デコイの中にヒーターを入れることで、本物の兵器が発する熱を真似ることもできる。だが、例えば偽のレーダー装置に本物のレーダー装置が発するものと同じ信号を出させるのは難しい。
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ただし、それは難しいものの、不可能ではない。ウクライナとロシアはいずれも、いわゆる「脅威エミッター」と呼ばれる発信専用の小型レーダー装置を保有している。平時には訓練で使用し、戦時には本物のレーダー装置と見せかけるためにデコイと一緒に設置できる。

デコイにエミッターを加えると、費用は跳ね上がる。脅威エミッターは1個3万ドル(約450万円)ほどだ。

だが、デコイかどうかを見分ける最大のポイントは、それが置かれている状況かもしれない。戦車やミサイル発射機は単独は戦わず、小さな部隊の一部であり、その小さな部隊はより大きな部隊の一部で、大きな部隊は目的を持った軍全体の一部だ。軍事作戦と、それを遂行する部隊は複雑だ。
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対照的に、デコイは単純だ。熱を帯び信号を出すものであっても、それは変わらない。ロシア軍にはデコイの設置を任務とする連隊がおそらく何百もあるが、相互に連結された膨張式の軍隊を配備することはできない。デコイの戦車と本物の戦車を見分けるには、それがポツンと置かれ、動かないかどうかを見ればいい。

英軍需企業ローク・マナー・リサーチのシニアコンサルティングエンジニアであるゾラン・ドブロサブリエビッチは専門誌ジャーナル・オブ・エレクトロマグネティック・ドミナンスに、デコイ産業が規模を拡大し、本物と間違えるような信号を加えられるようになるにはまだ時間がかかると指摘。「戦闘部隊全体を模倣するとなると、さらに難しい」とし、「モジュレーションの種類やタイミングに至るまで、完全なものにならない限り、有能な敵は、デコイが本物ではないことに気づく」と語った。

今週、第45連隊が設置したダミー戦車の上空にドローンがとどまった時間はほんのわずかだった。ドローンの操縦士は、これが空気で膨らんだデコイであることにすぐに気づいた。

forbes.com 原文

翻訳=溝口慈子

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