SMALL GIANTS

2023.10.06 11:00

ごみ収集から生まれた新発想 仙台発・組織カルチャーの磨き方

督 あかり
50年前に先代が車一台で始めたチリ紙交換業。その後、産業廃棄物の収集運搬・処分事業によって会社は成長した。齋藤社長が2代目として事業承継したのは2012年。同年に始まった新規事業の廃棄物管理コンサルティング事業、リサイクルステーション事業が軌道に乗りつつあり、前年の2011年には東日本大震災で仙台港資源化センターが津波で被災したものの、がれき処理業務を担ったこともあり、売上・社員数とも急激に増加していた。
 齋藤孝志社長

齋藤孝志社長

「社員数が150人を超え、先代が行ってきたパワーマネジメントでは成長への限界を感じていました。また他社を差別化できる技術も商品もありませんでした。廃棄物収集のドライバーの仕事は社会にとってなくてはならない大切な仕事。けれど社会からの評価がドライバーまで届きづらく、このギャップを埋めて評価がダイレクトに伝わるようにしたい。そのためには何かが必要。会社自身が新しく生まれ変わる必要があると考えました」
 
こうして新事業を生み出す決意と、それまでの社内風土を大胆に改革し、個性を生かす新たな組織づくりをスタートした。

自分が幸せになるために、「自分力」向上を

組織改革で最も重要視したのは「価値観の共有」。会社がどうとか、上司がどうとかではなく、自分が幸せになるために働く、このシンプルな概念を社内の共通認識とするため工夫を凝らした。会話が弾むオフィス空間、外部講師による研修、社内メンター制の導入と部署横断型の面談など、様々な取り組みを長年にわたって継続中だ。
 
「自分が幸せになるため」。その意識を共有できたことによって、各自は安心して自分で考えて行動できるようになった。自分の幸せを実現するために職場があり、共に働く仲間は支え合う関係。例えばある部長さんは、仲間に自分を理解してもらい欠点を補ってもらうことで自分にも組織にもプラスになるという考えから部下へのアドバイスをまとめたプレゼン資料をみせてくれた。
 
そこには、「自分の欠点は頑固なところ、もう少し素直であればより新しいアイデアを取り入れやすいのは分かっているけれど、どうしても執着する傾向がある、またこれを今後、完全に克服できるとも思えない。だからみなさんこの自分の欠点をどうか理解してください、自分に皆さんの視点や気づきを提供してほしい」とあった。組織のために自己分析し、自分でも直せない欠点を自ら率直に説明する様子には感銘を受けた。
 SKグループ社内の様子 フラットな組織風土が根付く

SKグループ社内の様子 フラットな組織風土が根付く 価値観を共有し、各自が「自分力向上」を目指す方針を示したことにより自走式ともいえる組織ができあがった。

次ページ > リサイクルを軸にまちと人と企業がつながる

文=赤羽優子

タグ:

連載

SGイノベーター【北海道・東北エリア】

ForbesBrandVoice

人気記事