「社員数が150人を超え、先代が行ってきたパワーマネジメントでは成長への限界を感じていました。また他社を差別化できる技術も商品もありませんでした。廃棄物収集のドライバーの仕事は社会にとってなくてはならない大切な仕事。けれど社会からの評価がドライバーまで届きづらく、このギャップを埋めて評価がダイレクトに伝わるようにしたい。そのためには何かが必要。会社自身が新しく生まれ変わる必要があると考えました」
こうして新事業を生み出す決意と、それまでの社内風土を大胆に改革し、個性を生かす新たな組織づくりをスタートした。
自分が幸せになるために、「自分力」向上を
組織改革で最も重要視したのは「価値観の共有」。会社がどうとか、上司がどうとかではなく、自分が幸せになるために働く、このシンプルな概念を社内の共通認識とするため工夫を凝らした。会話が弾むオフィス空間、外部講師による研修、社内メンター制の導入と部署横断型の面談など、様々な取り組みを長年にわたって継続中だ。「自分が幸せになるため」。その意識を共有できたことによって、各自は安心して自分で考えて行動できるようになった。自分の幸せを実現するために職場があり、共に働く仲間は支え合う関係。例えばある部長さんは、仲間に自分を理解してもらい欠点を補ってもらうことで自分にも組織にもプラスになるという考えから部下へのアドバイスをまとめたプレゼン資料をみせてくれた。
そこには、「自分の欠点は頑固なところ、もう少し素直であればより新しいアイデアを取り入れやすいのは分かっているけれど、どうしても執着する傾向がある、またこれを今後、完全に克服できるとも思えない。だからみなさんこの自分の欠点をどうか理解してください、自分に皆さんの視点や気づきを提供してほしい」とあった。組織のために自己分析し、自分でも直せない欠点を自ら率直に説明する様子には感銘を受けた。